植村信保のブログ

保険アナリスト植村信保のブログ

2015年09月26日

大連の旧跡めぐり

 

中国・大連の町を歩いてきました。

「大連」と言われてもピンとこないかもしれませんが、
「遼東半島」ならおわかりになるでしょうか
(日清戦争 ⇒ 三国干渉 ですね)。

もともとは小さな漁村だったところを、遼東半島の南部を
租借地としていた帝政ロシアが19世紀末に港を開き、
都市建設に乗り出したのが始まりです。

その後、日露戦争から約40年間、大連は日本の統治下
にあったため、当時の建物が数多く残っています。

中心部の「中山広場」という大きなロータリーの周囲には、
写真左の旧大連市役所(現在は中国工商銀行として使用)、
写真右の旧ヤマトホテル(今もホテルとして営業中)のほか、
旧横浜正金銀行や旧朝鮮銀行などの建物が並んでいて、
これは見ごたえがありました。

いずれも文化財に指定されていて、かつ、現役の銀行や
政府機関として使われているので、保存状態は良好です。
欲を言えば、内部を見学できるといいのですが、
これは仕方がないかもしれません。

旧満鉄本社も残っていて、今は鉄道局が使用しています。
建物の一部は資料館として見学ができました。


他方、こうした公的な建物ではなく、かつての商店街や
住居はだいぶなくなってしまったようです。
かろうじて残っている建物も老朽化がとことん進んでいて、
もはや時間の問題という印象でした。

 

写真はいずれも大連駅近くの通称「連鎖街」です。
かつては大連で1、2を争う繁華街だったとか。
左は「東京堂」という中国みやげのお店だったところ、
右は当時「心斎橋通り」と呼ばれていた通りです。

建物をよく見ると、昭和モダンの香りがしますね。ただ、
「80年前の建物を修繕せずに使い続けるとこうなるのか」
といった状態でした。特に裏通りはすごかった。

聞くところによると、地元の住民は郊外に移ってしまい、
この地域に住んでいるのは地方から出てきた人たち。
低所得層が住むスラム街のようになってしまったそうです。

町の背後に見える高層ビル群と対照的な光景でした。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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| post at 18:04:05 | コメント(0)  | カテゴリー : 16. その他 |

2015年09月19日

金融行政方針と保険

 

金融庁が今事務年度(2015年7月~2016年6月)の
「金融行政方針」を発表しました。
金融庁のサイトへ

かつては監督局が業態別の「監督方針」を公表し、
検査局が「検査基本方針」を出していましたが、
一昨年度からは両者を統合した「金融モニタリング
基本方針」となり、今年度はより部局横断的な方針
となりました。

保険分野について確認すると、
「④ 金融機関による資産運用の高度化の促進」で、

「特に、保険会社の資産運用能力の向上は、
 自身の競争力強化にとって重要であると同時に、
 顧客の利益や国民の安定的な資産形成、さらには、
 我が国資本市場の発展に寄与する」

というくだりを見つけました。

「ビジネスモデルにおける資産運用の位置付けや
 運用の高度化に向けた取組みについて、経営としての
 問題認識や取組みの状況を確認する」

とのことです。具体的にはよくわかりません。

ただし、20ページからの【保険会社】のところでは、
統合的リスク管理の促進として、

「資産・負債の総合的な管理(ALM)等が適時適切に
 実施されているかを確認する他、各保険会社等の
 特性に応じた取組みを促す」

とありますので、「運用の高度化」が一人歩きしない、
負債特性を軽視(無視)したリスクテイクを促さない
ことを願っています。


他に、前回からの変化ということでは、

「当局の審査の考え方を出来るだけ早い段階で周知
 することにより、保険会社等の創意工夫を活かした
 商品開発や商品改定が迅速に行われるようにするため、
 商品開発部門や日本アクチュアリー会及び損害保険
 料率算出機構との対話を進める」

という記述がありました。具体名が書いてあるので、
それぞれの団体と協議を行うということなのでしょう。
対話の成果が公表されるといいですね。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※東京・三田の保険代理店「ライフィ」を訪問しました。
 50社以上の保険会社を取り扱っているのだそうです。

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| post at 23:14:27 | コメント(3)  | カテゴリー : 07. 規制・会計基準 |

2015年09月13日

相互会社の保険会社買収



日本生命による三井生命の株式取得をはじめ、
大手生保による内外保険会社の買収発表が
相次ぎました。

ところで、大手4社のうち、第一生命を除く3社は
相互会社です。

保険業法には、相互会社の非社員契約による
保険料が全体の2割を超えてはならないという
規定があります。

多くの非社員契約を認めると、相互会社の本質、
つまり、社員=契約者からなる組織という話から
外れてしまうからと言われています。

他方、相互会社が子会社として保険会社を持つ
のは可能であり、保険会社の買収に関しては、
相互会社と株式会社で法的な差はなさそうです
(それでいいのかという議論はあるかもしれません)。


とはいえ、株式会社による買収とは違い、
相互会社は社員(契約者)の持ち物なのですから、
保険会社の買収が社員にどんなメリットがあるのか、
経営者は十分に説明する必要があると思います。

これは単に買収の目的を説明すればいいという
話ではありませんし、「経営体力が回復したから」
「市場シェア拡大のため」では説明になりません。

例えば、内外保険会社の買収などで規模を拡大
しなければ、縮小市場のなかでは将来にわたり
保障を全うできないという経営判断なのであれば、
そのような説明が必要です。

あるいは、「保障を将来にわたり全う」は当然として、
契約者への還元を増やしていくには、事業規模の
拡大が不可欠と判断した、というのも理解できます。

米国の大手保険相互会社の公表資料を見ると、
相互会社のメリットとして「中長期的な経営姿勢」のほか
「契約者還元の魅力」をこれまでの実績とともに示し、
株式会社との差別化を図っているようです。

これに対し、日本では相互会社であることの利点や
相互会社の社員(契約者)になることのメリット等を
積極的にはアピールしていないように見えます。

いずれにしても、内外保険会社の買収をきっかけに、
日本の相互会社経営のあり方が改めて問われるのでは
ないかと思います。


最後にご案内を。
9月29日(火)の夕方に損保総研で講演する予定です。
演題は「保険ERM・ソルベンシー規制の方向性」。
詳しくは損保総研のサイトをご覧ください。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※娘はテスト勉強中。先日、忘れた(なくした?)プリントを
 友だちに写メしてもらい、そのまま画面を使っていました。
 便利になりましたね(苦笑)


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| post at 18:01:37 | コメント(4)  | カテゴリー : 01. 保険経営全般 |

2015年09月05日

夏の読書から

 

今回はこの夏に読んだ本のご紹介です。

1.「世論調査とは何だろうか」(岩波新書)

著者の岩本裕さんはNHKの記者出身で、
現在はNHK放送文化研究所で世論調査を
担当しているかたです。

「素人ならではの視点を活かして、数字に
 だまされないため皆さんに知っておいて
 ほしいことを紹介していきます」

とあり、世論調査について幅広い視点から
紹介した本でした。

最も問題なのは、若者を中心に協力してくれる人が
大きく減っていることだそうです。

これに対し、世論調査は民主主義社会のなかで
私たちに与えられた「武器」なので、有効に利用
すべきというのが著者からのメッセージでした。



2.「海外企業買収 失敗の本質」(東洋経済新報社)

保険会社の海外展開についての執筆が続いたため、
日本企業の海外M&Aに関する本を何冊か読みました。

本書はM&Aの専門家である松本茂さんによる本です。
ただし、買収の実務書ではなく、日本企業による
海外M&Aを分析し、過去の事例から学ぼうというもの。

おそらく博士論文を一般書にしたものだと思いますが、
研究手法が私の中堅生保の破綻研究と似ていて、
その意味でも興味深く読みました。

それにしても、調査対象116案件のうち、失敗
(売却・撤退に至った案件)が51件とは驚きですね。

なお、ご案内の通り、このところ週刊金融財政事情で
書評を執筆していて、次回は本書を取り上げています
(もう少ししたら掲載されると思います)。




3.「本社はわかってくれない」(講談社現代新書)
  (下川裕治・編)

こちらも日本企業の海外進出絡みの本で、
副題に「東南アジア駐在員はつらいよ」とあります。

日本企業が東南アジアで遭遇した各種トラブルや
現地日本人の胸のなかにしまわれていた話
(なかには愚痴のようなものもありますが...)を
ジャーナリストが掘り出しています。

参考までに見出しを並べると...

 ・すぐ休む人々
 ・働かない人々
 ・会社を私物化する人々
 ・身勝手な人々
 ・会社のカネを使い込む人々
 ・すぐに訴える人々
 ・役人な人々
 ・宗教で生きる人々
 ・才能ある人々
 ・不運に見舞われた人々
 ・日本を持ち込む人々

編者の下川さんは、海外進出する日本企業に
問われる資質とは、「トラブルを克服していく能力」
とまとめています。
確かに、そもそもトラブルは起こるもの、なのでしょう。



※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※写真左は「フリフリチキン」、右は「ガーリックシュリンプ」。
 どちらもハレイワ名物です。

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