植村信保のブログ

保険アナリスト植村信保のブログ

2014年08月31日

生保の四半期開示より(続)

 

前々回に続き、生保の四半期開示から。

大手生保の新契約業績の推移を見ると、
第一生命の新契約高(保険金額ベース)が
2014年1-3月期から急減していることがわかります。

調べてみると、昨年12月から主力商品が変わり、
特約から定期保険(=死亡保障)がなくなる一方、
7大リスク(がん、脳卒中、死亡など)をカバーする
「アシストセブン」を付加する形になっていました。

新契約高は基本的に死亡保険金額なので、
おそらく新商品は新契約高に反映されにくいのでしょう。
他方で第三分野の年換算保険料が前年同期よりも
伸びているので、第三分野・生前給付シフトが
強まったと言えそうです。


新商品といえば、明治安田生命もこの5月から
主力商品を切り替えています。
主契約のアカウント部分をなくし、更新型の各種特約を
組み合わせるタイプにしました。

同社は2000年にアカウント型保険を発売しました。
自在性が売りだったのですが、結果的に保険契約が
小粒となり、平均保険料の水準が下がったようです
(商品特性によるのか、販売戦略なのかは不明です)。
新商品も自在性を訴求しているようですが、
特約の組み合わせだけで構成されています。

第一生命とは違い、こちらは定期保険特約がありますが、
特約の一つに死亡保障があるという感じなので、
やはり第三分野・生前給付シフトが進むのかもしれません。


他の大手2社の四半期開示も主力商品と合わせて見ると
なかなか味わい深いので、機会がありましたらぜひご覧下さい。
累積ベースから四半期ベースにするのが面倒ですけど、
せっかくの開示ですので、大いに活用しましょう。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※写真は台北MRTの温泉仕様と、台鉄の貨物列車です。


ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。
| post at 22:49:58 | コメント(0)  | カテゴリー : 02. 保険会社の経営分析 |

2014年08月27日

特別講座のご案内

 

今回もご案内が締切ギリギリとなってしまいました。
来週の9/4(木)に損保総研でスピーチをします。
損保総研のHPへ

タイトルは「わが国保険業界のERM態勢の整備に向けて」。
ただし、「最近の健全性規制の動向を踏まえて」の副題があり、
金融庁が公表した「金融モニタリングレポート」の分析など、
ERMに関連する内外規制動向についてもコメントする予定です。

最後の「わが国保険会社のERM経営の方向性」では、
損保総研の研究会で取り組んできた成果の一部を
可能な範囲でご紹介したいと考えています。

単なる規制動向の紹介にはならない予定ですので、
ご関心のあるかたは、どうぞお越し下さい。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※台北から電車で九份へ。週末だったので大賑わいでした。


ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。
| post at 23:45:01 | コメント(0)  | カテゴリー : 15. 執筆・講演等のご案内 |

2014年08月24日

生保の四半期開示より

 

四半期決算をもとに、最近の生保の収支動向を確認しました。
まずは、注目の解約返戻金の動向です。

2012年秋からの株高や円安を受けて、2013年以降、
変額年金や外貨建年金を積極販売していた会社では、
解約返戻金が高水準で推移していました。

会社によってはだいぶ落ち着いてきたようですが、
引き続き高い水準の解約が続いていると言えそうです。
特に、ランオフ会社の資金流出は止まっていない模様。

保険料収入も確認してみました。

全体としては横ばいで推移しているなかで、明治安田と
第一フロンティア、三井住友海上プライマリーの好調さが
目を引きます。アフラックとメットライフも高水準です。
おそらく銀行窓販によるものなのでしょう。

ちなみに、総資産が10兆円を超えるグループは、
かんぽと大手4社のほか、T&D、プルデンシャル、
アフラックとなっています。
ここ数年のアフラックの拡大ペースはかなり速いですね。

もう一つ、データを眺めていて気になった数字が、
保険金等支払金のうちの「年金」です。
このところ増加傾向が鮮明なのですが、どう考えたらいいか。
バブル期前後の契約が徐々に支払い開始となっているのか、
あるいは、銀行窓販によるものなのか。

四半期開示もこうして数字を眺めてみると、
いろいろと考えるきっかけにはなりますね。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします

※この夜市は観光客が少なく、地元密着という感じでした。

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。
| post at 23:48:57 | コメント(0)  | カテゴリー : 02. 保険会社の経営分析 |

2014年08月20日

家族で台北へ

 

今年の夏休みは家族で台北に行きました。
家族旅行としては3年ぶりの台北です。

ところで、日本を訪れる外国人旅行者数が
昨年初めて年間1000万人を超えました。
職場が人気観光地「築地」にあり、確かに
海外からの旅行者が増えたと感じます。

それでは、どこから来た人が多いのでしょうか。
中国人が増えたなあと思っていたのですが、
統計を見ると、最近のトップは台湾でした。

この半年間のトップ3を見ると、台湾(139万人)、
韓国(127万人)、中国(100万人)となっています。
韓国が前年をやや割り込む一方、台湾をはじめ、
アジア各国からの訪日数が急激に伸びている
というのが最近の傾向です。

ですから、中国人観光客が増えたなあと思っても、
実は台湾人である可能性も結構高いのですね。

今回、台北で感じたのですが、中国人と台湾人
ばかりでなく、日本人との区別も難しくなっています。
特に若い女性は外見だけではわからないですね。


反対に、日本からどこに出かけているかというと、
米国(ハワイを含む)、中国、韓国がトップ3です。
ただし、2014年の傾向としては、中国と韓国が減り、
台湾が大きく伸びています。

我が家がまさにそうですが、韓流ブームのころ
ソウルを訪れた層が、台湾に向かっているとか。
最近の日韓関係が影響しているのでしょう。

いずれにせよ、日本と台湾はかつてないほどの
大交流時代を迎えているようです。


※台湾に行ったら、小籠包とマンゴー氷です!
 (食べ物だけではなく、今回は故宮にも行きました)

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。
| post at 00:11:08 | コメント(0)  | カテゴリー : 16. その他 |

2014年08月14日

登米市登米町

 

タイトルを正しく読むことができるでしょうか?

正解は「とめし とよままち」です。
同じ漢字なのに、市と町で読み方が違います。

ちなみに、登米小学校は「とよま」、登米高校は「とめ」、
登米警察署は「とめ」、観光物産センターは「とよま」です。

しかも、市役所は登米町とは全く別の場所にあります。
地図では「登米」が2か所表示されていることもあり、
仙台からの高速バスも2系統あります。
乗り間違えそうですね。

どうしてこんなややこしいことになっているのかと言うと、
歴史的には「とよま」だったこの地を、明治政府の役人が
「登米」を「とよま」と読めず、間違えて「とめ」と読んでしまい、
そのまま修正しなかったのだそうです。

さらに、2005年に旧登米(とめ)郡の8町などが合併した際、
歴史の長い登米(とよま)町ではなく、最も人口の多い迫町に
市役所を置いたため、一段とややこしくなってしまいました。


私が訪れたのは登米(とよま)町です。
「みやぎの明治村」と呼ばれ、かつては北上川の水運で
大いに栄えたそうです。

写真のような立派な小学校(今は教育資料館)があり、
町のあちこちには立派な蔵が残っています。
明治初期にはなんと県庁も置かれていました。

ところが、明治23年に現在の東北本線が開通すると、
北上川の水運は急速に衰退してしまいます。
もちろん、だから昔の町並みが残ったとも言えるのですが...

ピーク時には1万人を超えていた登米町の人口は
今では5000人程度に減ってしまいました
(市役所のある迫町の人口は2万人を超えています)。
高齢化も進み、65歳以上が3割を上回っているとのこと。
これでは単独での生き残りは難しいと判断したのでしょう。

食堂で同席した地元のおじいさん曰く、

「古くなった昔の駅舎(=かつて軽便鉄道が走っていた)が
 最近まであったんだけど、市は財政が厳しいからといって
 壊しちゃったんだよね。今は○○っていう薬屋になってるよ。
 とよまに役所があったなら、保存したと思うんだけどねぇ」

と嘆いていました。
その裏には、歴史ある町が他所に吸収されてしまったという
寂しさがあるのかもしれません。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。


ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。
| post at 22:48:47 | コメント(2)  | カテゴリー : 16. その他 |

2014年08月10日

ロスディベロップメント表

 

保険販売業向けメルマガ「inswatch」の原稿執筆のため、
最近出そろった大手損保各社のディスクロージャー誌を
ざっと確認しました。

その際、ふと目に留まったのがこの表です。ディスクロ誌では
「事故発生からの期間経過に伴う最終損害見積り額の推移表」
として、平成18年度データから公表されています
(直近5期分、4年後まで)。

例えば損保ジャパンの場合、「事業の概況」→「保険の引受」
の105ページにあります ⇒ ディスクロ誌はこちら

事故発生から保険金支払いまでの期間が長い契約
(=ロングテイルなどと呼ばれる)の場合、
支払備金をいかに適切に計上するかが重要です。

そこでロスディベロップメント表を見れば、横軸が発生年度、
縦軸が経過年度別の累計保険金+支払備金となっているので、
当初の支払見込みがどの程度保守的(あるいは甘かったか)
をうかがうことができるというわけです。

実際に各社のデータを見ると、自動車保険の支払見込額が
大きく振れることはなく、せいぜい2、3%程度なのに対し、
賠償責任保険では当初見込みから大きく動くことがあるようです。

例えばある会社では、H22年度の事故発生から3年後になって、
支払見込額が前年の1.5倍に急拡大しています。
別の会社でも、同じくH22年度の見込額は、当初見込みから
2割近く増えています(ただし、増えたのは主に1年後)。

H22年度なので、もしかしたら例外的な特殊要因(震災関連など)
かもしれませんし、他の要因なのかもしれません。
アナリストであれば、こうしたディスクロ情報を手掛かりに、
会社に背景を確認してみることができますね。

本来は支払備金(IBNR)を適切に見積もるための表
なのだと思いますが、開示による牽制効果が期待できそうです。
ただし、賠償責任保険の場合、4年後でも支払備金が多いので、
4年後までの開示ではちょっと短いように感じています。

なお、inswatchでこの表を取り上げるのはマニアックすぎるので、
inswatchでは大手損保の「種目別コンバインドレシオ」
「外貨建資産の推移」「業種別保有株式・貸付金」など、
ディスクロ誌にしか掲載されないデータの一部を紹介しました。
ご参考まで。
inswatchのHPへ

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※写真は仙台の七夕です。


ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。
| post at 14:58:37 | コメント(0)  | カテゴリー : 02. 保険会社の経営分析 |

2014年08月04日

「すき家」の調査報告書

 

ゼンショーHDが運営する牛丼チェーン「すき家」の
労働環境改善に向けた第三者委員会報告書が
公表されました。

8/1の各紙で報道されたとはいえ、せっかくなので、
現物をご覧いただくことをお勧めします。
ゼンショーHPへ

会社が自ら設置した第三者委員会ではありますが、
「とりわけ厳しい久保利先生にあえてお任せした」
(ゼンショーHDの小川CEO)とのことで、
総じて会社は協力的な姿勢だったようです。

報告書では、現場の生々しい労働実態のほか、
各種委員会(リスク管理委員会など)が全く機能せず、
内部監査部による指摘もCEOを動かすことはなく、
幹部が過重労働問題を認識しつつも、全社的な検討・
対応がなされなかったとしています。

そして、根本的な原因として、

・経営幹部の危機意識の欠如
・過重労働(法令違反)を是正する仕組みの不全
・経営幹部に共通する意識・行動パターン
 *顧客満足のみにとらわれた思考・行動パターン
 *自己の成功体験にとらわれた思考・行動パターン
 *数値に基づく収益追求と精神論に基づく労働力投入 など

を挙げています。

ゼンショーグループは創業者であり実質的な大株主でもある
小川CEOの会社であり、要はカリスマCEOがグループを
外食日本一に導く一方、現場に深刻な問題があっても、
誰もCEOと対等に議論することがなかったのでしょう。


会社の内面に迫る優れた報告書だとは思うものの、
一読した限りでは、アナリスト的な視点といいますか、
いわゆる経営分析がほとんど行われていないようです。

「『外食世界一を目指す小川CEOの下に、その志の実現に
 参加したいという強い意志を持った部下が結集し、
 昼夜を厭わず、生活のすべてを捧げて働き、生き残った者が
 経営幹部になる』というビジネスモデルが、その限界に達し、
 壁にぶつかったものということができる」(報告書より)

内的要因としてはそうかもしれませんが、果たして
それだけなのでしょうか。

日本格付研究所によると、すき家の既存店売上高は、
ブームの反動もあり、2011年9月からマイナス基調となり、
2014/3期の既存店売上高も前年割れでした。
増収は新規出店によるものです。
この価格帯の外食産業の競争環境は熾烈と聞きます。

加えて、原材料価格の上昇などにより原価率が上がり、
収益を圧迫していることがわかります。

他方、有利子負債の一部には、2期連続の経常損失を
トリガーとする財務制限条項が付いているようです。
これがどの程度重要な話なのかはわかりませんが、
同社が有利子負債を活用した積極経営であることは確かです。

格付レポートや有価証券報告書をざっと眺めただけでも、
ここ数年のゼンショーHDの経営状況が厳しくなっていたと
うかがえるのですが、メンバーが弁護士中心だとしても、
このような視点からの分析も必要なように感じました。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※京橋の交差点が様変わりしていて驚きました。

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。
| post at 00:23:46 | コメント(0)  | カテゴリー : 06. リスク管理関連 |
植村信保ブログ プロフィール ライブラリー お問い合わせ