植村信保のブログ

保険アナリスト植村信保のブログ

2014年05月25日

損保の決算発表から



生損保の2014年3月期決算の発表が続いています。
3メガ損保グループは先週20日に発表がありました。

生保でもすでに上場会社と日本生命が発表しており、
来週初に主要会社の決算が出そろいそうです。


好調といわれる3メガ損保グループの決算を
ざっと眺めてみました。

料率引き上げによる保険料単価の上昇を主因に
自動車保険の損害率が大きく下がっています。

ところが、国内損保事業全体でみると、
リトンベースの損害率低下に目を奪われがちですが、
E/Iベースの損害率はたいして下がっていません
(NKSJ合算ではむしろ上昇していますね)。
やはり2月の大雪の影響が大きかったようです。

日本損害保険協会によると、2月の雪害による
保険金支払見込額は2536億円に達したそうです。
なかでも埼玉県と群馬県、それに東京都の金額が
膨らみました。
損保協会のHPへ

3メガ損保はいずれも25%超の市場シェアですが、
強い地域、弱い地域があるということなのでしょう。


グループ企業価値の拡大という点では、
国内損保事業の貢献はまだそれほど大きくありません。

株価上昇による影響が最も大きく、これに続くのが
国内生保事業の増加で、この二つが大半を占めています
(東京海上は海外保険事業も相当貢献しています)。

NKSJでは修正利益の8割を生保事業が占め、
MS&ADでも生保EVの増加が1600億円と、
グループコア利益(948億円)を大きく上回っています。
メガ損保は生保事業に支えられているのですね。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※写真は都電荒川線です。


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2014年05月17日

2024年の保険ビジネス

 

先日、ある会合で金融庁幹部のかたが、
「10年後に大きく変わっている保険ビジネスは?」
という問いかけをしていました。

なんだかRINGの会のオープンセミナーみたいですが
(「2024年、進化した保険代理店が業界を変える」が
 今回のテーマですね^^ → オープンセミナーのHPへ
彼の答えは自動車保険でした。

今後10年間で自動車は大きく変わることが予想されます。

すでに「自動ブレーキ」は小型車でも普及しつつあります。
人間を障害物として見分けるのはまだ難しいようですが、
ブレーキ技術は日進月歩のようです。

「走行ビッグデータの活用」も影響が大きいと言います。
自動車の走行データに基づき保険料が決まる
「Pay As You Drive」はすでに一部で始まっていますね。

車両に関するデータをうまく収集・分析すれば、
省燃費や安全性の向上などにもつながりそうです。

さらに、「自動運転」も、もはや夢の技術ではありません。
すでに高速道路の自動運転くらいなら可能になっているとか。

そんな時代の自動車保険ビジネスはどうなっているのでしょうか。

「事故が起こりにくければ保険料率が下がる」
「ハイテク化が一段と進み、支払単価が上がる」

こういった変化にとどまらず、そもそも誰が保険に入るのか。
自動車オーナーなのか、あるいは自動車メーカーなのかも。

今の自動車保険は「ヒト(=人身傷害など)」「モノ(=車両保険など)」
「賠償責任(=対人、対物など)」の組み合わせです。

しかし、車が自動運転となった時代の保険とは、もしかしたら、
今の延長線上ではないのかもしれません。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※写真は台湾の保安駅です。日本国有鉄道の香りがしました。
 縁起切符でも有名だとか。


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2014年05月10日

最近の読書から

 

GW直後ということで、最近読んだ本のご紹介です。

1.「世界の経営学者はいま何を考えているのか」

世界のビジネススクールの最前線にいる「経営学者」たちが
どんな研究に取り組んでいるのか、わかりやすく紹介した本です。

 ・アメリカの経営学者はドラッカーを読まない
 ・ハーバード・ビジネス・レビューは学術誌ではない
 ・経営学には教科書がない

これだけでも「目からうろこ」ですが、私がなるほどと思ったのは
「日本の経営学と海外の経営学」のところです。

日本の経営学がケース・スタディーを重視する風潮が強いのに対し、
米国を中心とした世界の経営学の主流は、理論仮説を立て、
それを統計的な手法で検証するアプローチなのだそうです。

著者の入山さんは、両者が互いの長所短所を補い合うことが重要
と述べているものの、

「現在欧米を中心としたトップスクールにいる経営学者の多くは
 (彼らが考える意味での)科学性を重視しており、そのために
 『理論→統計分析』の演繹的アプローチが支配的である」

と説明しており、どこかで聞いた話だなあと。

ただ、入山さんもどこかで書いていましたが、企業の経営は
自然現象ではなく、人間や人間の集団が行うものですよね。

仮定に基づいた統計分析でどこまで本質に迫れるのか、
各章で紹介された世界の経営学のフロンティアをみると、
まだまだ発展途上の分野であることもわかりました。



2.「申し訳ない、御社をつぶしたのは私です」

副題は「コンサルタントはこうして組織をぐちゃぐちゃにする」。

職業柄ドキドキするタイトルですが、単なるコンサル批判ではなく、
従来の経営コンサルティングの問題点を指摘したうえで、
コンサルティング業務の望ましいあり方や、クライアントと
コンサルタントの正しい付き合い方を提唱したものです。

本書にも様々な経営理論が出てくるのですが、
著者のカレン・フェラン氏は自身の長年の経験等から、
過去を懺悔しつつ、これらを一刀両断しています。

本書には、

「コンサルティングが役に立つとき、役に立たないとき」
「危険なコンサルタントの見抜き方」

なんて表も付いていて、これだけでも参考になりそうです。



3.「アクチュアリー・桑山啓介の転職」

このところ専門職として人気が高まりつつあるアクチュアリー。
本書は「損害保険アクチュアリー」の世界を描いた珍しい本です
(初版は2008年)。

「筆者のこれまでの経験や見聞を踏まえたフィクション」とはいえ、
私も20年以上、保険業界とお付き合いしていますので、
本書で描かれた中堅損保や外資系損保の社内の状況は
ものすごくリアルに感じました。

中堅損保から外資に移った本書の主人公は、
再び日本社に転職するところで終わっています。
その後どうなったのか、続編が気になるところですね。

なお、筆者のHPがあり、そこで補足情報が得られます。
鷹巣怜のホームページ



<番外編> 「親台論-日本と台湾の心の絆」

台湾に行く前に勉強しようと思い、関連書籍を探してみると、
圧倒的に多いのは「グルメ関連」でした^^

次に目立つのは、台湾を題材にしつつ、日本のありかた
(特に対中、対韓関係)を論じているものでしょうか。

本書もタイトルからして後者のジャンルに入るとはいえ、
イデオロギー色が薄く、日台関係について勉強するには
いい本だと思います。

確かに私の経験からしても、台湾の皆さんは日本や日本人に
好意的だという印象がありますし、台湾の町を歩いていると
あちこちに「日本」が見つかります。大事にしたいお隣さんですね。



※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※台湾といえばマンゴー氷です♪


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2014年05月07日

台南の旅

 

連休中に台湾の古都、台南に行ってきました。

羽田から台北までは飛行機で約3時間。
そこから新幹線に乗れば、2時間弱で台南に到着です。


台湾は古来から中国の一部というイメージがありますが、
中国(清)に組み込まれたのは17世紀後半のこと。
日本は江戸時代です。

最初に台湾を統治(占有?)したのはオランダで、
東インド会社が17世紀前半に台南に城を築き、
商業・行政の中心としました。

そのオランダを破ったのが明の遺臣・鄭成功です。
大陸で明が滅び、清の勢力が拡大するなかで、
鄭成功は「反清復明」を掲げて抵抗したものの、
1661年に拠点を大陸から台湾に移しました
(近松の国性爺合戦ですね)。

しかし、鄭氏政権は1683年に清に敗れ、
以降、清が台湾を統治することになります。

このような歴史とは、今回、台南に行くことになるまで、
恥ずかしながら知りませんでした。


その後、19世紀になると、再び列強が進出するようになり、
明治維新後の日本も登場します。

清は台湾の重要性を踏まえ、統治を強化するのですが、
日清戦争で敗れ、日本の統治が50年間続きます。

1945年の日本の敗戦で、台湾は中華民国に編入され、
今度は大陸から移ってきた、いわゆる「外省人」が
行政の中核を占めることになります。

1949年には大陸で共産党に敗れた蒋介石が台湾に移り、
国民党による独裁体制が長く続きます。
民主化が進んだのはごく最近のことです。


ざっと台湾の歴史を眺めてみましたが、17世紀以降、
常に外部からの圧力や支配にさらされてきたことがわかります。

それにしても、台南の観光地はすごい人出でした。
この時期、中国も連休なので、おそらく大陸からの観光客が
多かったのではないでしょうか。

中国人観光客が増えたのは、2008年に国民党が政権に復帰し、
中台間の交流に力を入れてからのことです。
2010年以降、中国からの訪問者数は日本人を上回っています。

他方、この3月には中国と台湾のサービス貿易協定をめぐり
学生を中心とした大規模なデモが起きています。
日本ではあまり大きくは報道されなかったような気がしますが...


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※左の写真はオランダが築いた安平古堡(ゼーランディア城)、
 右は大勢の人でにぎわう花園夜市です。


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