植村信保のブログ

保険アナリスト植村信保のブログ

2013年11月23日

大手損保の中間決算発表

 

3メガ損保の2013年度第2四半期(4~9月期)決算が
19日に公表されました。

自動車保険の収支改善や自然災害の損害額減少が
注目されているようなので、私もデータを眺めてみると、
いくつか発見がありました。

まず、自動車保険では、大手5社とも増収ですが、
内容はやや異なるようです。

東京海上は契約台数が増え、単価は横ばいなのに対し、
他の4社は契約台数が横ばい(または減少)で、
単価上昇により増収を果たしていました。

単価については値上げ時期の違いが影響しているのでしょう。
東京海上の台数増は生保提携効果が続いているのか、
それとも「超保険」効果なのか、詳細はわかりませんが、
他の2グループとはやや違う結果となっているようです。

自然災害についても、確かに前年度に比べれば
損害額は大きく減っています。

ただし、自然災害が少ない年度とは言えなさそうです。
3メガ損保の損害額は1000億円を超える見込みで、
2007年度(約400億円)や2008年度(約400億円)、
2009年度(約700億円)とは違います。

他にもいろいろありそうですが、まずはこんなところで。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※写真は靖国神社の青空骨董市です。
 毎週日曜日に開催されています。


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2013年11月18日

「好決算」に惑わされないで

 

先週から保険会社の決算発表が始まりました。
第一生命の連結純利益は前年同期比71%増、
T&Dの連結純利益は倍増となりました
(14日公表)。

増益には有価証券評価損が減ったことや、
外国証券の利息・配当金増加が大きかったようです。
ともに上場以来、上期の最高益を更新したとか。

メガバンクの決算発表もありました(同じく14日)。
みずほと三井住友はやはり上期としての過去最高益。
前年に比べ、株式評価損が少なかったことと、
貸倒引当金の戻し入れなどが寄与した模様です。


メディアが報道する「好決算」「過去最高益」には
どのような意味があるのでしょうか。

決算発表でメディアが会計上の損益に注目するのは、
損益の拡大、イコール、会社価値の拡大という前提が
あるのだと思います。

しかし、例えば「株式評価損が減ったから増益」
「貸倒引当金が戻入になったから増益」というのに
皆さんは違和感ありませんか?

株式を保有しているのであれば、株価が上がれば
会社価値にはプラス、下がればマイナスです。
ところが、会計上の損益に株価上昇の影響は
あまり反映されません(貸出金も同様です)。

金利についてもそうです。
特に、長期にわたり固定利率を保証している生保の場合、
この上期は超長期金利が上昇し、将来の負担が減り、
会社価値が改善しました。
ところが、会計上の損益にはほとんど反映されていません。

金融セクター(銀行、保険)の場合、会社価値の拡大と
会計上の損益のギャップがあまりに大きく、過去には、
会計上の損益をターゲットにした経営をしていたために
会社が傾いてしまった中堅生保もありました。

銀行や保険会社の経営陣は、さすがにこのあたりは
理解していると信じていますが、メディアが相変わらず
会計上の損益だけを見て「好決算」「過去最高益」とはやすと、
もしかしたら引きずられることがあるかもしれません。

さすがに日経新聞は、銀行については「好決算」としつつも、
「国内の貸出が伸びていない」「利ざやは縮小」と、
本業の厳しさをきちんととらえています。

保険についても、「保険料収入が増えたから増収」
「アベノミクス効果で増益」という意味不明な報道ではなく、
会社価値の変動を意識した記述がほしいですね。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※今月に入り、上智大と東京経済大で講義を行いました。
 写真は東京経済大です。武蔵野の面影を感じます。


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2013年11月17日

種村直樹さん

 

久しぶりに丸善をのぞいたら、「種村直樹の鉄道旅行術」
という雑誌があり、思わず購入してしまいました。

ブログの写真などでお察しの通り、私は鉄道の旅が好きで、
中学生の時から友人と、あるいは一人で出掛けていました。
車窓から景色を眺めたり、知らない町をうろうろしたり、
まあ、鉄分のあまり強くない乗り鉄(?)でしょうか。

そんな私が1980年代に強く影響を受けた作家といえば、
もちろん宮脇俊三さんと種村直樹さんです。
特に種村さんは目線が若年層にも向いていて、
様々な著作で汽車旅の魅力を伝えてくれました。

種村さんの本には「質問があればお問い合わせ下さい」と
住所が掲載されていて、中学生の私が質問の手紙を書いたら、
本当に種村さんから丁寧な回答が送られてきました
(右の写真です)。

どうして質問の手紙を書こうと思ったのか、なぜこの質問なのか、
回答の手紙を読み返しても思い出せないのですが、
種村さんから返事がきた時の感動は忘れられません
(達筆すぎてよく読めなかったという記憶もあります^^)。

それにしても、読者との手紙による交流から、熱心な読者による
友の会(ネットワーク)ができ、そこから著作が生まれる。
ネットもメールもない時代に、このようなやり方を生み出したのは
すごいことですね。

「種村直樹の鉄道旅行術」にはご本人の執筆はなく、
長期療養中とのことです。回復をお祈りしています。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。


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2013年11月09日

MCを務めました

 

7日(木)、8日(金)は日本アクチュアリー会の年次大会。
初日の特別講演、2日目のパネルディスカッションと、
2日続けてMC(≒司会者ですね)に挑戦しました。

初日のテーマは「金融機関のガバナンス」。
名古屋大学の家森信善教授と、先日ブログでもご紹介した
『金融機関のガバナンス』の著者である天谷知子さんに
それぞれ30分ずつお話しいただいた後、フロアに代わり、
私がお二人にいろいろと質問をしました。

2日目は「ERM」「ERMとアクチュアリー」をテーマに、
東京海上HDの伊藤卓CRO、金融庁検査局の佐々木審議官、
東京大学の国友直人教授といった産官学の重鎮に対し、
ERM資格の初回合格者である藤澤陽介さん(ライフネット生命)と、
ERM委員会の吉村委員長(ミリマンジャパン)が挑みました。

講演ではなくディスカッション形式にしたからには、
MCとしての役割を果たさなければなりません。

両日とも、「パネリストに聴衆に関心のありそうな質問をする」
「できるだけ具体的な話を出してもらう」の二つを心がけました。
出席されたかたのご感想はいかがでしょうか?

MCをやるといつも感じることですが、ディスカッションが始まると
あっという間に時間が経ってしまいます。
特に2日目は5人のパネリストですから、1人2分しゃべっても
それだけで10分かかります。

限られた時間のなかで、いかに興味深い話を引き出すか。
MCはなかなか奥の深い仕事ですね。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※写真は東京駅です。

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2013年11月02日

「生命保険料 下げやすく」

 

2日(土)の日経に標準利率見直しに関する記事が出ています。
一時払いの貯蓄性商品について、現在よりも標準利率を
市場動向に連動しやすくするようです。

まだ金融庁からの公表はなく、あくまで観測記事ですが、
朝日新聞による観測記事(1月)よりもかなり具体的なので、
ようやく内容が固まったということなのでしょう。

標準利率は「生命保険料算出の基準」とありますが、
正確には(標準)責任準備金を計算する基準であって、
保険料の基準となる予定利率は各社が独自に決めています。

今年4月からの標準利率引き下げを受けた各社の対応は
結構ばらついていましたよね。

ただ、例えば標準利率よりも予定利率を高く設定すると、
責任準備金を積み立てるのが難しくなります。
このため、保険会社が標準利率から大きく乖離した予定利率を
設定することはなく、価格競争の歯止めとなっています。


確かに現行の規制では金利上昇時に標準利率がついていかず、
生保の貯蓄性商品の競争力は相対的に落ちてしまいます。

とはいえ、標準利率が金利上昇についていきやすくなることと、
各社がどのような予定利率を設定するかは別の話です。

超長期に固定利率を保証することの難しさは、現在も抱えている
高予定利率契約の負担で身にしみていると思います。
ALM(資産・負債の総合管理)の重要性が一段と高まりますね。

「いざとなったら保障性商品の利益で補填すればいい」
などと言っている人はいませんか?

なお、新たな予定利率が適用されるのは新契約だけです。
すでに販売した予定利率の低い終身保険が、金利上昇時に
どうなるかという問題は残ります。
予定利率の高い保険に「転換」なんて手があるのでしょうか?


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※写真は「京の台所」として知られる錦市場です。

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