植村信保のブログ

保険アナリスト植村信保のブログ

2013年06月29日

早大保険規制研シンポ

 

早稲田大学の保険規制問題研究所が28日、
保険募集をテーマに公開シンポジウムを開催しました。

プログラムの前半は研究所メンバーによる発表、
後半は日本代協の岡部さん、仲立人協会の葛石さん
のスピーチと、フロアとの質疑応答でした
(私は参加者としてフロアにいました)。

いずれも先の金融審・募集WG報告書を踏まえたもので、
参加者も多く、今回の報告書の関心の高さが伺えました。

発表のうち、大塚英明先生の「『意向把握』について」は、
顧客の意向を知りつつ、意向どおりの保障を提供しなかった場合、
代理店は賠償責任を問われるようになる、という興味深いものでした。

話を聞いていて、同じ募集人でも、生保中心の大型乗合代理店と、
損保プロ代理店では、保険会社との関係はかなり異なることが
改めてわかりました。

日本代協・岡部さんの資料によると、

・現行の乗合承認制度の問題(=要は保険会社が承認しない)
・代理店の販売方針と代手体系等のミスマッチ

など、保険会社に対する損保プロ代理店の弱さが示されています。
フロアからもそのような声が上がりました(代理店のかたから)。

ただ、従来の、「行政→保険会社→代理店」という流れに加え、
「行政→代理店」が加わるということは、場合によっては、
保険会社による拡大解釈や予防的措置に従わなくてすむ
ということになるのかもしれません。

とはいえ、受け身のままでは何も変わらないのでしょうね。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※写真は早慶戦としてみました(慶大で講義があったので)。


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2013年06月23日

公社債の残存期間別残高

 

生保は以前から「有価証券残存期間別残高」という
データを公表しています
(大手中堅9社以外はディスクロージャー資料のみ)。

このデータを見ると、各社が保有する公社債の
残存期間を年々長期化してきたことがうかがえます。

例えば、1年以下=0.5年、1~3年=2年、3~5年=4年、
5~7年=6年、7~10年=8.5年、10年超=15年として
残存期間を推定してみましょう。

2003/3期と2013/3期の推定残存期間を比べると、

 日本生命 6.6年 → 11.7年
 第一生命 5.7年 → 12.3年
 住友生命 5.0年 → 12.2年
 明治安田 5.8年 → 12.0年

こんな感じになっています。


ただ、このところ困ったことが生じてきました。
いまや生保が保有する公社債の7、8割が「10年超」なのです。

ところが、10年超の債券がひとくくりで公表されているので、
20年債でも40年債でも同じ区分に入ってしまうのですね。

上記の推定では「10年超」を「15年」として計算しましたが、
もし「20年」で計算すると、残存期間は15年程度となります。
20年国債を中心に買っている会社と、40年国債もそこそこ
買っている会社では、残存期間はかなり異なるはず。
今の開示ではこのあたりは全くわかりません。

せっかく「有価証券残存期間別残高」を公表しているのに、
公社債の7、8割が同じ「10年超」の区分となっている。
このような現状を踏まえ、次回の決算発表までには
ぜひ「10年超」の細分化をお願いしたいです。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※左の写真は先週の父の日のプレゼントです♪


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2013年06月18日

オープンセミナーに登場

 

以前このブログで予告させていただいた通り、
週末(15日)は横浜でRINGの会オープンセミナーに出席。
1300人を超える保険関係者が集い、大盛況でした。
オープンセミナーのHPへ

私や元同僚の増島さんなどが登場した第一部は、
数日前に報告書が公表された保険募集規制の見直し案について
パネリストからの報告を中心に展開されました。
金融庁のHPへ

第二部では事業継承の難しさについて、経験者が語るというもの。
このテーマについて壇上で語るのは大変だったと思います。


いろいろと考えさせられたのが第三部、女性躍進の最前線です。
そもそもこのテーマを取り上げざるをえないところが問題なのですが、
それでも男の職場だった損保営業の世界が変化しつつあるのでしょう
(他方で代理店は引き続き男女分業が主流なのでしょうか?)。

背景としては、営業拠点のシステム化が進み、事務を担当していた
職員(主に女性)が営業推進を担当するようになったことがありそうです。

ただし、セミナーでは取り上げられませんでしたが、
本社の主要ポストとなると、女性は数えるほどしかいないと思います。
例えば前職でいろいろとヒアリングをさせていただくと、
メインスピーカーの一員として、女性は滅多に登場しませんでした
(社長が一人、経営企画担当役員が一人といった感じでしょうか)。

審議会などで見られる「3割ルール」などは、必要だとは思いつつ、
率直に言って首をかしげたくなる場面もしばしばあります。

とはいえ、優秀な学生は女性のほうが多いという実感もありますし、
シングルインカムではますます家計を支えられないという現実を踏まえると、
次の10年の変化は意外に大きいかもしれませんが、どうでしょうか。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。


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2013年06月13日

ERM情報開示の動き

 

上場生損保の投資家向け説明会の資料を見ると、
ERMに関する資料が回を追うごとに充実しています。
どちらかと言えば、目立つのは生保でしょうか。

「ERM構築の旗振りをしているので、そう見えるんでしょう」
という突っ込みが聞こえてきそうですが、論より証拠。
いくつかご紹介しましょう。

T&Dホールディングスの「グループ経営方針説明会」資料には、
ERM推進について実に6ページにわたり説明がありました。
T&DホールディングスのHPへ

ERMのこれまでの取り組みや考え方のほか、
経済価値ベースの純資産とリスク量の推移が示され、
資本効率性(収益性)の目標水準も設定しています。

第一生命が5/22に開催した決算・経営説明会の資料でも、
「成長を支えるERM推進」という説明があります。
第一生命のHPへ

第一生命は2013年度からの中期経営計画「Action D」で
4つの基本戦略の2つめに「ERMの推進」を掲げており、

「グローバル大手生保に伍する資本水準を確保するための
 施策を継続し、資本再配賦を通じて資本効率と企業価値の
 向上を目指し、さらには株主還元の拡充をはかる」

としています。

ソニー生命(ソニーフィナンシャルホールディングス)も
6/3の経営方針説明会で「経済価値ベースのリスク量」を示し、
初めてリスク量の内訳を開示しました。
ソニーフィナンシャルホールディングスのHPへ

これらは今のところ上場会社に限られた動きですが、
説明会ではこの点に関する質問も結構ありました。
外部の関心は決して低くはありません。

開示の動きが他の生保にも広がるといいですね。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※写真は森鴎外、太宰治のお墓です。
 同じ寺の斜め向かいにありました。


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2013年06月07日

書評が業界紙に載りました



6日の保険毎日新聞に書評が載ったので、お知らせ。

「図説 損害保険代理店ビジネスの新潮流」
(株式会社トムソンネット編 金融財政事情研究会)
です。

「日本の損保市場を拡大するには、開拓が遅れている
 中堅・中小企業市場に力を入れる必要がある」

「その担い手として、リスク対処のプロである
 『日本版独立代理店』が誕生しており、この強みを
 活かすべきである」

というのが本書のメッセージです。

企業向け市場を中心に、大規模経営で事業意欲が高く、
リスクマネジメントのプロである日本版独立代理店が
育ち始めていると本書では指摘しており、この新たな潮流には
私も注目したいと思います。

書評では字数の関係もあり、ほとんど触れませんでしたが、
本書のもう一つの特色は、米国の損害保険市場についての
記述が豊富なことです。

米国の保険情報であれば、Best ReviewやNational Underwriter
といった業界紙誌を読むのが一般的だと思います。

しかし、これらはある程度米国の保険市場をわかっていることが
読者の前提となっているので、同じ保険業界といっても、
日本にいる私たちにはピンとこないこともしばしばです。

これに対し、本書は日本の保険業界に通じた筆者が
米国の保険事情について取材したうえで解説しています。
「日本の損害保険会社であれば・・・」といった説明もあって、
参考になりました。



※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※「専門家による苦痛のない内視鏡検査」というのにひかれて
 桜木町まで行ってきました。確かに苦痛はなく、助かりました。


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2013年06月02日

2012年度の損保決算

 

タイミングが合わず、損保決算をスルーしてしまいました。
まあ、先週から今週にかけて3メガ損保の投資家向け説明会が
開かれていることもあり、いまコメントしても遅くはないでしょう。

全体としては、株高や円安の影響はプラスに効いているものの、
国内損保の収支改善は道半ばであり、国内生保と海外事業に
支えられている姿が鮮明だったと言えそうです。

ここから先は多少アナリストっぽい(?)話を。
各社のコンバインドレシオを見ると、2011年度よりはマシとはいえ、
こんなに高いのかと思われたかたがいるかもしれません。

 TM  99.7%(前年度は113.5%)
 MS 105.7%(同118.1%)
 AD 104.5%(同114.8%)
 SJ 103.4%(同113.6%)
 NK 109.7%(同119.7%)

実態としてはここまで収支は悪くありません。
タイの洪水など2011年度に発生した多額の保険金が
実際に支払われたのは2012年度だったためめ、
正味ベースの損害率が上がってしまったのですね。

ざっと見たところ、実質的な保険収支はプラスに転じた会社が
多いのではないでしょうか。

他方、大手5社の当期純利益はいずれも黒字となったものの、
こちらにも「異常危険準備金の取り崩し」という特殊要因があります。

異常危険準備金も保険金の発生ではなく、支払いに連動します。
すなわち、発生保険金がかさんだ2011年度ではなく、
それが支払いに転じた2012年度に取り崩しとなっており、
損益にプラスに寄与するというわけです。
5社合計で800億円ほどのプラス効果(税引前)と思われます。

しかし、火災保険の異常危険準備金の残高を見ると、
いくつかの会社ではピークだった2010年度から半減しています。

支払余力全体で考えれば健全性に問題はなさそうですが、
自然災害対応の規制もあるので、そのままというわけにはいきません。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※週末に横浜中華街で高校時代のクラス会がありました。
 クラスの半数以上が横浜市に住んでいることが判明。
 地元の県立高校とはいえ、ちょっと驚きました。
 なお、写真は横浜3塔の2つ、「キング」と「ジャック」です。


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