植村信保のブログ

保険アナリスト植村信保のブログ

2013年05月28日

乗り合い型保険ショップ

 

インタビュー記事のご紹介です。

27日の産経新聞・ビジネスアイに登場しました
(テキスト版しか見ていませんが、たぶん写真付きです^^v)。
「乗り合い保険店 転換期 規制強化で販売戦略に影響」
という記事に関連してインタビューを受けたものです。

保険ショップが台頭してきた背景や、金融審議会WGの
保険流通の新たな規制案についての解説や評価など、
一問一答の形でコメントをしています。

例えば...

Q:乗り合い型保険ショップへの規制が強化される方向だ。

A:従来の金融庁の監督は保険会社に対するものだったが、
 保険ショップなど保険販売者も新たに対象にしたことは
 意味がある。規制案は現状の保険流通を踏まえ、幅広く
 対応している印象だ。

Q:保険ショップは必ずしも公平・中立な立場で販売する
 わけではないと規制案では言及している。

A:無料で相談ができ、複数の商品を選べるというのは確か
 だが、数十社の商品から数社の商品に絞り込む過程など
 顧客にとって本当に公平・中立なのかという点で疑いが
 もたれる面はあるだろう。

こんな感じです。

「規制案」(本当は「報告書案」ですね)は保険ショップだけを
対象にしたものではなく、専属を含めたすべての募集人を
対象としたうえで、乗合には追加的な規制が加わる建て付けです。

大手の販売会社はすでに体制面の整備に力を入れているはず
(あくまで私の想像にすぎませんが...)。
それよりも、実質的には個人経営に近い代理店への影響が
大きいのではないでしょうか。


なお、先日ご案内した6/15(土)のRINGの会オープンセミナーで、
私が登場する第1部がまさにこのテーマとなっています。
3/20のブログへ

今回はすでに1000人もの申し込みがあったと聞いています。
まだ参加を受け付けているようですので、ご関心のあるかたはぜひ。



※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※写真は先日の火事で焼けてしまった井の頭公園の
 小さな神社です。弁天様のほうは無事でした。


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| post at 20:22:16 | コメント(0)  | カテゴリー : 04. 保険商品、チャネル |

2013年05月26日

2012年度生保決算の感想

 

主要生保の2012年度決算が出そろいました。

「少子高齢化で保険料収入が伸び悩んだ」
「円安・株高の追い風で逆ざやが縮小し、増益となった」
「国内債、国内株、外国証券の含み益は6年ぶりの高水準」
「金融市場の混乱で資産運用が難しくなっている」

新聞報道は総じてこんな感じでしょうか。

まず、今回の保険料収入の伸び悩みをもって、
少子高齢化の影響と言ってしまうのは、飛躍しすぎでしょうね。
確かに少子高齢化や若年層の保険離れといった構造問題は
生保にとって重要な課題ですが、それを伺わせるような
データを示さなければ、単なる作文になってしまいます。

次に、毎度のことですが、金利変動の影響を
もっとしっかり見てほしいものです。

2012年度は長期金利が大きく下がったため、
円安・株高がなければ企業価値が縮小したであろう会社も
いくつか見られました。
「逆ざやが縮小してよかった」なんて状況ではないのです。

生保にとって金利水準の変動が何を意味するのか、
なぜ生保が超長期国債にせっせと投資しているのかなどを
おそらく理解していないのでしょうね。
ご参考(4/13のブログ)

報道によると、明治安田生命の殿岡副社長は、
「今の水準なら日本国債に資金を振り向けられる」と語り、
住友生命の松本運用企画部長も、
「今の水準が続けば、国債を増やし外債の残高を
据え置くこともできる」とコメントしているようです。
日本生命の大関財務企画部長のコメントは
「今は流動性が少し落ちており、一般的に国債に手を出しにくい」です。

日銀が異次元緩和で長期金利の低下をターゲットにしたため
(少なくとも当初は)、これは大変なことになる心配したところ、
金利は反対に3月末の水準よりも上がったので、とりあえず安心。
ただ、実際に超長期債を買おうとすると、日銀と取り合いになり、
マーケットを変に動かしかねない...

私が勝手に解説すると、こんなところでしょうか。
だれも「金利が上がると困る」とは言っていませんので、
誤解なきように。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※写真は福島交通の電車なのですが、よく見ると、
 昔、東横線で走っていた電車を改造したものです。
 走り出すと懐かしい音がしました。


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| post at 00:32:35 | コメント(0)  | カテゴリー : 02. 保険会社の経営分析 |

2013年05月18日

大震災と保険

 

福島や仙台などで保険関係者の話を聞き、
実際に被災地を歩いてみて、印象に残ったことをいくつか。

1.「どうして教えてくれなかったのか」

コンサルティングをしっかりやっていた保険募集人と、
いわゆる人間関係が武器の募集人で明暗が分かれました。

大震災が発生し、自分は補償に入っていないことが判明。
その際、トラブルになったのは圧倒的に後者だったようです。

前者は「説明を受けたけど、保険料負担が重いので入らなかった」
といった話なので、むしろ「あなたの言うとおりにしておけばよかった」
と信頼が高まりました。

しかし、後者の場合には、正しい情報をくれなかったという
募集人への怒りが高まり、しばしばトラブルになったとか。

「販売至上主義」では、いざというときに信頼を失ってしまうことが
今回の震災で見えたのだと思います。


2.バブルはいつまで続くか

大震災で多くの方々が亡くなったり、家を失ったりしたことで、
保険へのニーズ、特に死亡保障のニーズが高まっているとか。

死亡保障は売るのが難しい保険です。
「自分が死んだら遺族がどうなるか」という、あまり考えたくないことを
顧客に想像してもらわなければならないためです。

ところが、おそらく震災で死後の世界をイメージする機会が
生じたのでしょう。保険ショップも結構にぎわっているようです。

とはいえ、これは一時的にニーズが顕在化したものと
考えるのが妥当なのでしょうね。


3.建設ラッシュの後はどうなるのか

被災地を歩くと、まだまだ更地が多いとはいえ、
あちこちで建物を再建する動きを見ることができました。
飲食店もそこそこにぎわっているようです。

しかし、今回の震災で被害を受けた地域では、震災以前から
水産加工業などの地場産業が衰退し、地域経済が
下降線をたどっていました

つまり、上モノだけ作っても、地域経済がよくなるとは
とても思えないのですね。

表面的な「復興」に目を奪われてはいけないと感じました。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。



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| post at 23:24:42 | コメント(0)  | カテゴリー : 10. 出張報告 |

2013年05月14日

福島で学会

 

福島に行ったのは日本ディスクロージャー研究学会の
研究大会に出席するためです。
学会HPへ

大会の目玉である統一論題報告・討論は、「東日本大震災後の
リスク管理と情報のディスクロージャーのあり方」。
4人の先生による報告の後、ゲストの野村修也教授も加わって
パネルディスカッションがありました。

吉川先生(心理学)の「リスク・コミュニケーションの現代的意義」や、
柴先生の「リスクのディスクロージャーに関する研究の必要性」など、
報告はなかなか示唆に富むものでした。

例えば、こんな話が出てきましたので、ご紹介します。

「リスクについて多くの情報をもっている科学者や行政などの
 専門家だけが情報や意思決定を独占するのではなく、
 非専門家である市民を含めた社会全体として意思決定して
 いこうとする、新しい考え方の浸透が目指されている」(吉川先生)

「大災害が実際に発生した後では、リスク管理そのものがリスクに
 変わりうる。このリスクは大災害後の人間行動と言ってもよい。
 (中略)我々が知りたいことは、自然災害の発生の可能性と、
 災害発生後のすべての人間行動である。」(柴先生)

普段私が使っているリスクの概念とはやや異なる感はありますし、
実は当日私は質問をしているのですが、それはさておき、
リスク・コミュニケーションといい、人間行動といい、保険会社の
ERMやリスク管理を考えるうえでも重要なポイントだと思います。


※いつもの通り個人的なコメントということでお願いします。

※飯坂温泉で開かれた懇親会では福島の少女たち
 (福島里の子会)が日本舞踊を披露してくれました。


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2013年05月13日

杜の都の食べ歩き・街歩き

 

週末にかけて、石巻、仙台、福島への出張がありました。
堅い話はあとで書くとして、宿泊した仙台国際ホテルでのこと。

旅先の夕食は楽しみな半面、面倒でもありますよね。
この日もどうしようかと悩んでいるとき、ふと目についたのが、
デスクにあった「杜の都の食べ歩き・街歩き」という本。

よく部屋に置いてある広告ばかりのガイドブックではなく、
グルメの総支配人によるレストランガイドだったので、びっくり。
ミシュランの星がつくような高級店からカジュアルな居酒屋まで、
すべて総支配人が自ら足を運んだおすすめの店なのです。

熟読(?)の末、これはと思った店にいくつか電話してみたところ、
週末の夜ということもあり、あいにく予約はできませんでした。

ただ、そこでふと思いつきました。
レストランガイドを書くような支配人の経営するホテルであれば、
そこで提供される食事もおいしいはず、と。

ガイドブックには館内レストランの案内もありました。
1Fに「デリカショップ」があるというので、ここリゾットと総菜、
それにワインを買い、部屋で一杯やることにしたのですが、
これが大変おいしかった。デパ地下のテイクアウトとは違いました。

翌日の朝食も大満足でした。
バイキングなのは他のホテルと同じですが、宮城のコメを
おいしく食べられるような「ご飯の友」がずらりと並んでいました。
朝から一人でニコニコしていた私は、変な人に見えたでしょうね^^

あとで調べてみると、この総支配人・野口育男さんは、
経営が傾いた当ホテルを再建するため、東武グループから
2007年に送り込まれたのだそうです。

ある記事によると「(当時は)殿様商売が染みついていた」とのこと。
食事面だけではなく、今はかなり変わったのではないでしょうか。
仙台に行く機会があれば、また泊まってみたいホテルです。


※いつものように個人的なコメントとということでお願いします。

※この本の売り上げは全額寄付されるそうです。



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| post at 00:37:36 | コメント(1)  | カテゴリー : 14. 書評 |

2013年05月06日

神経経済学/利益調整研究



GW読書の第二弾です。

最初の「神経経済学」のほうは、「脳の中の経済学」
という新書を読みました。

行動経済学と脳神経科学のコラボで誕生した分野だそうで、
経済行動を生む脳の仕組みについて、経済学と脳神経科学の
両面から解き明かそうというものです。

確かに自然科学とは違い、経済学は人間の行動に
関わるものなので、脳の仕組みと関係があるはずですね。

まあ、なんのこっちゃと思われたかたは、本書をご覧下さい。
読みやすい本でした。


もう一つの「利益調整研究」は書籍を読んだのではなく、
今回(5月)の証券アナリストジャーナルの特集です。

ここで言う「利益調整」とは、

「何らかの特定の目的を達成するために、経営者によって
行われる、会計数値を対象とした裁量行動」

のことで、実証会計学の世界では一大研究領域なのだそうです。

経営者が行う利益調整の方法には、会計的裁量行動と
実体的裁量行動があり、前者は会計上の見積もりや変更など
キャッシュフローの変動を伴わない会計上の操作、
後者は実際の経営活動を変更して利益を動かす方法です。

さらに、損益計算書で計上される位置を動かして
特定の利益を調整する「分類的操作」もあります。
例えば、ある費用を裁量的に特別損益に計上すれば、
経常利益がその分かさ上げされますよね。

こちらの研究も経営者の行動に関するものであり、
アナリストとして掲載論文を興味深く読みました。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※写真は謎の暗号?・・・わかりますよね^^


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2013年05月03日

「金融機関のガバナンス」



金融庁出身で、現在は東京大学公共政策大学院の
客員教授を務めている天谷知子さんの近著です。

欧米の金融機関に関する各種の調査報告書や
金融庁の検査事例集等から失敗事例を紹介しつつ、
金融機関のガバナンスについて語った本です。

私の著書「経営なき破綻 平成生保危機の真実」に
通じるところもあって、興味深く拝読しました。

本書ではベアリングズの破綻やサブプライム問題
(ワシントン・ミューチュアルやRBS、UBSの失敗)、
JPモルガン「ロンドンの鯨」事件などを題材に、
金融機関のガバナンス問題について考察しています。

キーワードとして登場するのが「コンプライアンス化」
「数値の自己目的化」「性弱説」「集団的思考」などです。
関係者には思い当たることばかりではないでしょうか。


ところで、2年半とはいえ私も行政経験があるためか、
本書で最も印象に残ったのは、天谷さんが本文ではなく、
「おわりに」で触れている「規制・監督とガバナンス」でした。

「金融機関のガバナンスが機能していなければ
 規制・監督はザルと化し、一方、規制・監督によって
 ガバナンスを機能させようとしても、本当に問題を
 抱えている部分にはなかなか届かないという現実」

自己規律や市場規律には頼れない、さりとて、
自分で自分をコントロールできない金融機関に対しては、
いくら厳しい規制があっても意味をなさないわけです。

となると、あとは規制・監督が金融機関のガバナンスを
向上させる必要があるのですが、果たしてそれが可能かどうか。

チェックリストを守らせることはできるでしょう。
しかし、実際にガバナンスが機能しているかどうかは別の話です。
それ以前に、そもそも機能しているかどうかを見極めるのは
そう簡単ではありません。

この点については、私もいろいろと考えさせられたので、
そうだよなあと思いつつ、なかなか回答を見出せないでいます。

確かに、「踏切事故をなくすには踏切をなくせばいい」
のはわかるのですが、本書にもあるとおり、そもそも金融機関は
リスクを扱うことを商売としています。保険会社も同じです。

ボルカ―・ルールのように、踏切をなくしてしまうのが
金融機関のガバナンス問題を解決するうえで妥当なのか、
このあたりは私もさらに考えてみたいです。

もっとも、日本の場合、「専門人材の育成と活用」
「官民交流の一層の充実」などが、まずは取り組むべき課題かも。
本質的には「いたちごっこ」なのは承知のうえで。




※いつもの通り、個人的なコメントということでお願いします。

※写真はどこかの中央官庁みたいですが、
 実は築地市場の事務所です。

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