植村信保のブログ

保険アナリスト植村信保のブログ

2013年02月23日

監督・検査は変わったか?



前々回に告知させていただいたTRMAセミナー(2/18)には、
100人を超える皆さまにお越しいただき、ありがとうございました。
当時の同僚も出席していたなかで、私としてはそれなりに
踏み込んでお話ししたつもりです。いかがでしたでしょうか。

講演やセミナーに出席すると、せっかくの質疑応答の時間に
ほとんど質問が出ないということも多いようです。
でも、TRMAセミナーではいつも質問がたくさん出るので、
出席者としては、スピーチよりも面白かったりします。

今回も、面白かったかどうかはともかく、質問が途切れず、
冷や汗をかきながら(?)お答えしました。

大きく分けると、ERMやリスク管理の中身に関する質問と、
保険ERMに対する金融庁の取り組みに関する質問が
半々といったところでしょうか。


「あなたの著書『経営なき破綻』で、当時の当局の監督・検査が
 十分機能しなかったとあるが、実際勤務してみて今はどうなのか」

という質問にはちょっとドキッとしました。

自分で書いていてドキッとするもなにもないですが、
あとから拙著を読み返すと、確かにいろいろ書いてあります(笑)。

個別事例の検証のところでは、

「負債の問題についてどこまで把握していたのかは疑問」
(東邦生命)

「監督官庁の影は薄い」(千代田生命)

「経営指導・チェックのようなものはほとんどなく(後略)」
(協栄生命)

などなど。そして終章では、

「大蔵省による立ち入り検査は銀行検査の延長線上で行われ、
 資産運用リスク(とくに信用リスク)と業務運営の確認が中心」

「行政が生保固有の収益やリスク構造を重視していなかった」

と書いてあります。
こう書いた私が、その後保険行政の現場に行ったわけですね。
質問したくなるのもわかります。

会場でお答えしたとおり、今の保険行政が過去の経験を
生かそうとしているのは確かです。

なかなかコメントが難しいですが、例えば私の在任中に、
金融庁は「保険財務基準・リスク分析室」を立ち上げ、
ソルベンシー規制の検討とモニタリングの態勢を強化しました。
また、保険会社の検査班も今は6チームに増えています
(少し前は4チームでした)。

ただ、慣れたころに担当者が代わってしまうという現状もあります。
ここはもう少し何とかならないものかと思います。
銀行や証券に比べると、保険は外部人材も少ないようです。


なお、しばらくすると、TRMAのHPに質疑応答がアップされるので
(ただし会員専用メニュー)、詳細はこちらをご覧下さい。
会員登録はこちらへ


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※写真はライトアップされた歌舞伎座です。


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2013年02月17日

生保の第3四半期報告

 

主要生保の平成24年度第3四半期報告
(≒2012年4-12月期決算)が出そろいました。

現行会計の下で、3ヶ月ごとに基礎利益や
保険業績の傾向が大きく変わることはまずない
(累計ということもありますしね)ため、
自ずと金融市場変動による影響に目が行きます。

ということで、ソルベンシー・マージン総額や
有価証券含み損益の動向をみると、
前期末に比べて概ね増加していました。

「株価回復のため」と言いたいところですが、
12月の時点では、株式含み益が前期末の
水準を上回るところまで回復した会社は少なく、
それよりも円安等による外国証券の時価上昇が
効いているようです。

ソルベンシー・マージン比率も前期末に比べ、
各社とも軒並み上昇しています。
分母のリスク相当額の動きよりも、
分子のソルベンシー・マージン総額の増加が
影響したようです。

資産含み益の回復に加え、基金や劣後債務など
外部調達を実施した会社で上昇が目立ちます。

もう少し時間があれば、四半期ごとの業績動向なども
確認したいところですが、取り急ぎ今回はこんなところで。


※週末は保険流通の勉強会に出席。
 現場の生の声を伺うことができました。


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2013年02月11日

TRMAセミナーでスピーチ

 

前回とは違い、今回は事前のご報告です。

東京リスクマネジャー懇談会(TRMA)のセミナー
「保険ERMの現状と課題」で講師を務めます。

日時は2/18(月)18:30から。
場所は六本木ヒルズ11FのSAS社だったと思いますが、
まだTRMAのHPにアップされていないようですね。
とりあえず申し込み画面はこちらです。

→ アップされていました^^ TRMAのHPへ

副題をつけるとするならば、
「金融庁での保険行政経験を踏まえて」でしょうか。

せっかくの機会ですので、
霞が関で勤務していた約2年半に何があって、
どのようなことをしてきたのかなどについて、
可能な範囲でお伝えしたいと考えています。

本当は私のような感じで行ったり来たりする人が
もっと増えたほうがいいのでしょうね。

ということで、ご関心のあるかたはぜひお越し下さい。


※写真左は東横線の渋谷駅です。
 あと1ヵ月でこの風景も見納めですね。


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2013年02月07日

RMSセミナーでスピーチ

 

都合により事後報告ですみません。
リスクモデリング会社のRMS Japanが開催したセミナーで
スピーチをしました(7日)。

RMSのモデルはこのブログでも何回か取り上げています。
同社はAIR、EQECATとともに自然災害リスクのモデルを
提供する世界有数のモデリング会社です。

セミナーには創業者の一人である Hemant Shahさん
(President and CEO)も登場しました。

Hemantさんたちは1988年に米スタンフォード大学でRMSを設立。
最初はわずか5人でスタートしたそうです。
今や1000人以上の専門家を抱え、400以上の保険会社等が
RMSのモデルを活用しているとか。すごいですね。

Hemantさんには初めてお会いしましたが、
気さくでいい感じのかたでした。


私のスピーチですが、

「日本の損害保険業界におけるERMの現状と
 モデル活用状況、行政当局の動向」

というタイトルではあるものの、持ち時間(30分)を考えて、

・保険会社ERMの現状
・保険行政の動向
・自然災害リスクと保険業界

に絞って話をしました。それでも「30分は短いですね」
と数名のかたから言われてしまいました...^^;
もっとテーマを絞ったほうがよかったのかもしれません。


ご参考までに、スピーチで紹介した金融庁委託調査の
報告書はこちらです(2012年7月に公表)。

この報告書は先に挙げた3大モデリング会社の提供する
モデル構造の分析が中心となっています。
実際にモデルを使った分析を行い、モデルごとの特色を
つかもうという試みも行っています。

同じくスピーカーを務めた三井住友海上の伊東さん
(執行役員・商品本部火災新種保険部長)もご指摘のとおり、
近年はモデルの利用範囲が拡大する一方で、
モデルがブラックボックスではだめで、利用者がモデルの
構造を理解することが求められるようになっています。

金融庁が自然災害モデルの委託調査を行ったのも、
まさに同じ流れにあると言えるでしょう。

プレーヤーの皆さんにはこの報告書の情報は
もしかしたら当然のことなのかもしれませんが、
私には大変参考になりました。

ただし、あくまで委託調査であり、再保険ブローカー
(エーオン ベンフィールド ジャパン)による分析という点には
留意が必要ですね。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※写真は横浜です。日揮の本社はこちらにあります。


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2013年02月03日

機能別再編

 

「最適な損害保険事業の在り方」を検討していた
MS&ADグループが、中核損保2社を存続しつつ、
機能別再編を行うと発表しました(1/31)。
ニュースリリース(PDF)

「事業再編の踏み込み度合いは大きいとは言いがたい」
(東洋経済オンライン)という見方もあるようですが、
私が興味深く感じた点は、第三分野の長期契約を
三井住友海上あいおい生命に移行するという話です。

国際競争力の向上や事業再編の促進に資するため、
昨年の保険業法改正で、保険契約の移転に係る規制が
見直されているのをご存じでしょうか
(現在、施行に係る内閣府令案をパブコメ中)。

今回発表されたMS&ADグループの機能別再編は
まさにこの規制見直しを踏まえたものなのですが、
私は勝手に、「生保どうし」「損保どうし」の再編を
イメージしていました。

第三分野の場合には、損保から生保(あるいはその逆)
といった移転もあるのですね。

今回の再編の結果、三井住友海上あいおい生命には
生保として獲得した長期の第三分野契約と、
損保として獲得した長期の第三分野契約が
併存することになります。

損保系生保はいわば損保の別動隊的存在なので、
細かい点はともかく、同じ長期第三分野の集約は
アナリスト目線からすると確かに合理的に感じますが、
この再編手法は盲点でした。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※写真は御茶ノ水です。


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