植村信保のブログ

保険アナリスト植村信保のブログ

2011年12月31日

借金漬けの野田家

 

いろいろあった2011年もあとわずか。
東日本大震災の発生と原発事故、欧州ソブリン危機、
そして日本の財政問題。

いずれも深刻なものばかりで、かつ、解決はこれから。
特に財政問題は、市場のターゲットとなったイタリアが
2013年の収支均衡に向けて具体的に動き出したのに対し、
日本はほんとにこれからですものね。


24日の朝日新聞(時事通信)です。
----------------------------
高齢の両親の医療費はかさむ一方。給料だけではやり繰りできず、
借金漬けのサラリーマン家庭、野田家はいまや破産寸前--(中略)

夫の年収は423万円だが、支出は903万円。消費者金融から
年収よりも多い442万円を借り(国債発行)、37万円のへそくり
(税外収入)で食いつなぐ瀬戸際の生活だ。

支出が前年度比20万円減るのは保険料(年金国庫負担の一部)を
長男に払わせるため。東日本大震災の義援金には次男の貯金
(復興特別会計)を使う。

危機の主因は伸び悩む年収と、年々増え続ける両親の医療費
(社会保障費)にある。しかし、社長も両親も「無駄遣いするからだ」
「へそくりがあるだろう」と取り付く島もない。
----------------------------

それでは皆さま、来年も引き続きよろしくお願いします。


※鎌倉の瑞泉寺です。年末なのに紅葉がきれいでした。


ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。
| post at 11:51:49 | コメント(2)  | カテゴリー : 05. 金融・経済全般 |

2011年12月27日

「リスクオフ」規制が助長?

 

27日の日経に小平龍四郎編集委員による
「『リスクオフ』規制が助長?」という記事がありました。
これまで株式の比率を下げてきた生命保険会社が
規制強化で「リスクオフ」を続ける、というものです。

この記事のなかに、

「支払い余力規制が強くなりすぎると、株式投資などを通じて
 経済に成長資金を供給してきた生保の役割が変わってしまう
 --国際決済銀行(BIS)はそう警告している」

という記述があったので、元のレポートを探してみました。

記事に出所が書いていないので特定できないのですが、
おそらく7月の「保険会社と年金基金の債券投資戦略」
というレポートではないかと思います。
BISのHP

確かにレポートには、

「伝統的に長期投資家である生保や年金基金が、
 新たな会計や規制により、その役割を果たすのが難しくなっている」

とあります。しかしよく読むと、

「彼らが債券市場において果たしてきた長期投資家としての役割に
 影響を与えかねない大きな課題に直面している」

とあり、そもそも株式市場についてコメントしているのではなく、
「ソルベンシー規制の強化 → 生保が株式売却」という議論を
展開しているわけではありません。


しかも、同じレポートのなかで、

・ソルベンシーⅡの資本コストをカバーするための収益目標は、
 生保のような長期投資家にとっては達成が容易

・そのうえ分散効果が実質的な株式へのリスクチャージを
 半分程度に減らす可能性がある

・したがって、EUソルベンシーⅡの導入後も、株式は引き続き
 投資可能な資産クラスであり続ける

と結論付けています。


ということで、少なくともこのレポートを引用して
「BISが規制強化による株式市場への影響を警告」
というのはおかしい話ですね。

ただ、私の知らない別の「警告」があるのかもしれませんので、
ご存じのかたはぜひ教えていただけませんでしょうか。


※写真は横浜の歴史的建築物です。


ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。
| post at 23:49:08 | コメント(2)  | カテゴリー : 13. 保険マスコミ時評 |

2011年12月24日

視聴率40%

 

「家政婦のミタ」最終回の平均視聴率が40.0%(関東地区)と、
ドラマでは史上5位(大河ドラマなどを除く)だったそうですね。
三田さんが微笑むシーンを私もちらっと見ました。

この「視聴率」が気になったので、少し調べてみました。
ビデオリサーチのHPへ

現在、視聴率を調査・公表しているのはビデオリサーチだけなのですね。
ニールセンは10年前に撤退していました。

まず、一般に「視聴率」と言われるのは「世帯視聴率」のことで、
「テレビ所有世帯のうち、どのくらいの世帯がテレビをつけていたか」
を示す割合なのだそうです。

例えば、調査対象600世帯のうち、240世帯が「家政婦のミタ」を
見ていれば、世帯視聴率は40%となりますが、
当然ながら「10人に4人が見ていた」ことにはなりません。

世帯に複数のテレビがあることも考慮すると、
「テレビ所有世帯のうち4割で、世帯の誰かが『家政婦のミタ』を見ていた」
ということになりますね。


調査対象は関東地区の場合、ランダムに選んだ600世帯に
お願いしているとのこと。これは意外に少ないように感じました。
毎月25世帯を入れ替え、2年間ですべての対象世帯が
入れ替わるようにしているそうです。

ただ、協力世帯は実際にどう決まるのでしょうね。
ランダムに対象世帯を選ぶようですが、そもそも母集団のデータは
何を使っているのでしょうか。
連絡先がわかる世帯は年々減っているでしょうし。

結果的にテレビをよく見る人が協力世帯になっているように
思えてしまうのですが...

まあ、統計上の誤差もそこそこ大きいようですし、
あくまで参考情報として取り扱う数字なのでしょうね。


※写真は横浜・赤レンガ倉庫のクリスマス市場です。

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。
| post at 18:24:56 | コメント(0)  | カテゴリー : 05. 金融・経済全般 |

2011年12月22日

大学生と保険行政

 

ある大学の保険の授業で次のような課題が出ました。

「あなたが金融庁で保険行政を担当しているとします。
 最近の金融情勢を踏まえたうえで、
 いま行政官として何をするのが望ましいと思いますか。
 あなたの考えを自由に述べなさい。」


「最近の金融情勢を踏まえて」とあり、かつ、授業の内容に
どうしても影響されるので、「経営破綻を防ぐ」とか
「保険会社の監視を強める」といった回答が多いのは予想通りです。
ただ、なかには具体的なものもあり、なるほどと思いました。

・保険会社の経営者を、企業経営・経済学などの
 幅広い学習ができるスクールに参加させる。
 >>保険の知識だけでは不十分ということなのでしょうね

・経営者だけではなく、会社の内面をよく知っている従業員や
 関係者にインタビューして、会社をより理解する。
 >>経営者から話を聞くだけでは不十分との指摘でしょうか

・投資家と協力して保険会社のガバナンスを強化する。
 >>確かに行政と市場のコラボはもっとあっていいかもしれません

・保険会社への検査の頻度を増やす。あるいは、
 検査を第三者機関に委託する。
 >>たぶん今のままではダメという、なかなか厳しい意見です


あと、「若い世代が積極的に払うような年金制度を作る」
「高齢社会に合わせた年金商品の拡充を指導する」といった
年金に関する回答も目立ち、このテーマへの関心の高さが伺えます。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。


ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。
| post at 00:12:13 | コメント(0)  | カテゴリー : 07. 規制・会計基準 |

2011年12月17日

不払い問題の収束

 

金融庁は16日、生保10社への不払い問題に関する
業務改善命令を解除しました。
金融庁のHPへ

2005年からの保険金不払い・支払漏れ問題という
「事件」はこれで一応の収束となりますが、
事件前と後で保険業界はどう変わったのでしょうか。

日本の保険業界が今後どのような経営を行い、
どのような商品・サービスを提供していくのか、
引き続き注目したいと思います。


ところで報道によると、このところ米国の生保業界でも
保険金支払いに関する問題が持ち上がっているようです。

米国では従来、保険会社は契約者からの死亡通知を受け、
死亡保険金を支払ってきました。通知がない場合には、
被保険者が100歳+αになるまで保険会社が管理し、
その後は未請求の財産として州当局に移すのだそうです。

ただ、米国には公的な社会保障データベースがあります。
保険会社はこれを年金保険の支払い管理のために活用し、
被保険者の死亡がわかりしだい、年金の支払いを止めているとか。

このような死亡保険と年金保険の取り扱いの違いが
最近になって問題視されました。

すなわち、年金保険では社会保障データベースを確認して
年金の支払いを速やかに止めているのだから、
死亡保険でもデータベースを確認し、被保険者の死亡がわかれば
保険金を速やかに支払うべき、という話なのでしょう。

詳細はよくわかりませんが、ニュースを見る限りでは、
そのように言われても仕方がないように思います。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※恒例の町内会もちつき大会に行ってきました。


ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。
| post at 21:42:05 | コメント(0)  | カテゴリー : 01. 保険経営全般 |

2011年12月13日

欧州債務危機の現状

 

日本の不良債権問題は1990年以降のバブル崩壊で顕在化し、
解決には2000年代半ばまでかかりました。
特に1997年以降は信用収縮の傾向が顕著となりましたが、
大手銀行への二回の資本注入や企業向け支援策などもあり、
ようやく危機を脱することができました。

他方、米国発の金融危機は、米住宅バブルの崩壊に端を発し、
証券化商品等を通じて大手投資銀行を経営危機に追い込み、
世界的な危機に発展しました。
米国政府(TARP)による大手銀行等への資本注入もありましたが、
FRBによる住宅ローン担保証券の購入も大きかったように思います。

日米ともに大手銀行等への資本注入だけではだめで、
例えば不良資産の買い取りや企業向け支援など、
金融機関のバランスシートの両側に対する対策が必要でした。

今回の欧州債務危機を日米不良資産問題になぞらえると、
先週のEU首脳会議や銀行の資本不足額公表等を見るかぎり、
「資本注入」も「不良資産買い取り」もこれからということなので、
解決にはまだまだ時間がかかると見るべきなのでしょうね。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※左は慶大日吉キャンパス、右は横浜・日本大通りです。


ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。
| post at 23:19:54 | コメント(0)  | カテゴリー : 05. 金融・経済全般 |

2011年12月10日

今年の重大ニュース

 

早いもので今年も「重大ニュース」や「10大ニュース」
などを見かける季節になりました。

某学習塾が中学入試の社会科対策として選んだ
最重要ニュースは次の6つだそうです
(他に12の注目ニュースも載っていました)。

1.東日本大震災...自然と生活の関連
2.福島第一原発事故...日本のエネルギー問題
3.震災復興と新内閣の誕生...日本の政治
4.小笠原諸島と平泉が世界遺産に登録...自然や文化の保護
5.アジア諸国の躍進と日本の地位...世界経済の動き
6.世界人口が70億人を突破...日本と世界の人口問題

確かにいわゆる時事問題がこの中から出そうな感じがしますね。


※左の写真は戦時中に使われていた軍票です。
 本物かどうかはわかりません...


ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。
| post at 17:59:59 | コメント(2)  | カテゴリー : 16. その他 |

2011年12月06日

FP深田晶恵さんの新刊

 

同世代の売れっ子FP深田晶恵さんが、
「『投資で失敗したくない』と思ったら、まず読む本」
という本を出版しました。

投資デビューする前に読む入門書なのですが、
「ある程度売り手の事情を知っておいたほうがいい」
という深田さんの主張に思わずうなずいてしまいました。

例えば本書には、「金融機関で言ってはいけない言葉」
「窓口で使える言葉」がリストアップされています。

ネタバレになるので多くは書きませんが、例えば、
「そこそこ増える商品を選んでほしい」
「今、売れている商品は何ですか?」
は禁句なのだそうです(理由は本書に書いてあります)。

保険関連では一時払終身保険の話が載っています。
「一見おトクそうに見える一時払い終身保険」ということで、
「貯蓄目的であれば普通の貯蓄商品を使えばよく、
 わざわざ保険を買う必要はない」
というのが深田さんからのアドバイスです。


ところで、私の単なる知識不足だったのですが、
個人が買える国債は「個人向け国債」だけではなく、
本来の国債(「新型窓販国債」と言うそうです)も
購入できるのですね。

個人向け国債は中途解約時の額面保証がある代わりに
通常の国債よりも利率が低く、これしか選択肢がないのは
変だなあと思っていたので、私には目からうろこでした。

金融用語にはそれなりに通じているつもりですが、
実際には知らないことばかりだなあと、つくづく思います。


※写真はマラッカのチャイナタウン(?)です。


ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。
| post at 23:29:55 | コメント(0)  | カテゴリー : 14. 書評 |

2011年12月03日

古都マラッカ

 

マレーシアからの帰国前に強行軍でマラッカに行ってきました
(帰国便の出発までに時間があったので)。

世界地図を見ると、いかにも重要そうなところってありますよね。
アジアとヨーロッパの接点であるイスタンブールや、
大西洋と地中海をつなぐジブラルタルなどがその典型でしょうか。
マラッカもそのような位置にあります。

古くは明の永楽帝の時代(15世紀)に中国からアフリカまで遠征した
鄭和(ていわ)の艦隊もマラッカに寄港していますし、
日本にキリスト教を伝えたフランシスコ・ザビエルは、
マラッカで日本人ヤジローと出会い、日本行きを決めました。

そのような重要な場所なので、重層な歴史を持っています。

14世紀末にマラッカを建設したのはマラッカ王国です。
東西貿易で栄えた国のようで、15世紀にイスラム化していますが、
中国(明)に朝貢していており、影響を受けていたようです。

その後、16世紀初頭にはポルトガルがマラッカを征服、
以来、ヨーロッパ勢力の支配下に置かれることとなります。
17世紀にはオランダ(東インド会社)が占領し、
19世紀半ばからはイギリス領の拠点都市となりました。
数年間ですが日本の軍政下に置かれた時代もあります。

こんな歴史を持っている都市ですから、
歩いていて楽しくないはずがありません。
19世紀からはシンガポールが台頭したためか、
古い町並みが残っているのも魅力的です。
ごく短時間の滞在でしたが、歴史好きにはたまらないところでした。


※写真は16世紀にポルトガルが建てたカトリック教会の跡です。
 ザビエルが布教活動を行っていたそうで、像が立っていました。


ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。
| post at 18:04:02 | コメント(0)  | カテゴリー : 16. その他 |

2011年12月02日

中央銀行の協調策

 

日米欧の中央銀行(日銀、米FRB、ECB、英、スイス、カナダ)が
協調して欧州危機への対応策を打ち出しました(11/30)。
国際金融市場へのドル資金供給を充実させることで、
市場の緊張を和らげようというものです。

2008年のリーマン・ショックの経験を生かした対応として
前向きにとらえることもできますが、事態の深刻さも伺えます。

日本にいると、あくまで欧州問題のように見えますが、
このままではリーマン・ショックに匹敵するような事態になりかねず、
もはや誰にとっても対岸の火事ではないということなのでしょう。

確かにリーマン・ショックでは、震源地の米国だけではなく、
世界経済が大幅に失速しました。

日本銀行の白川方明総裁は会見で次のように話しています。

「この欧州のソブリン問題は、流動性の対策だけで解決する
 問題ではありません。流動性の供給策は、あくまでも時間を
 買うという政策であり、時間を買っている間に、経済・財政の
 構造改革に取り組むということがないと、問題は解決しません」

今回の中央銀行の協調策が、次の対応につながることを
期待したいものです。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※写真はマレーシアの古都マラッカです。


ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。
| post at 00:29:48 | コメント(0)  | カテゴリー : 05. 金融・経済全般 |
植村信保ブログ プロフィール ライブラリー お問い合わせ