植村信保のブログ

保険アナリスト植村信保のブログ

2010年06月30日

長期金利の低下

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サッカー日本代表の活躍に気を取られているうちに
金融市場が大変なことになっています。

とりわけ10年国債利回りは1.08%と7年ぶりの低水準です。
20年債も1.8%、30年債も1.9%割れという水準に下がっています。

資産・負債のフル・マッチングをしていない生保にとって、
長期金利の低下は深刻です。
単年度の決算では運用利回りの低下としか表れませんが、
会社の価値には大きなダメージとなります。

会社価値の参考としてEV(エンベディッド・バリュー)を
開示している第一生命や大同生命の金利感応度を見ると、
リスクフリーレートが50bp下がると、第一生命のEVは2.8→2.4兆円、
大同生命は0.8→0.7兆円と、いずれも大きく減ることがわかります
(2010/3末時点の分析結果による)。
両社とも株式・不動産価値の10%下落よりも、影響が大きいのです。

どうしてもEVを開示している会社が目立ってしまいがちですが、
開示していない国内系生保も状況は概ね似たようなものと思われます。
日本の生保にとって厳しい経営環境です。


※毎度のことながら、コメントは個人的なものです
 (そのように書かない時も含めて)。ご理解下さい。

※写真は箱根です。アジサイを見に行ったところ、
 今年は天候不順でいまいちでした。
 代わりに(?)温泉に入ってきました^^

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2010年06月27日

RINGオープンセミナー

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毎年恒例になっている「保険代理店の文化祭」、
RINGの会オープンセミナーが26日に横浜で開催されました。

このセミナーは今回が12回目。
毎年1000人弱が集まる一大イベントになっています。
全てRINGの会メンバー(主に代理店経営者)によるボランティア運営です。
運営に当たった皆さん、お疲れさまでした。

今回は転職直後ということもあり、私は企画やパネリスト依頼のみで、
当日は朝から晩までじっくりとセミナーを拝聴しました。

「プロ代理店は死滅の道を辿るのか?」というテーマは
ちょっと刺激的だったかもしれません
(ちなみに原案は「プロ代理店は死んだのか?」でした)。

この会に参加して下さる代理店や保険会社の皆さんは
ここでしか得られない刺激や気づきを求めているのでしょう。

結果的に今回は第1部~第3部とも、いずれも突き詰めれば
「専業代理店の存在意義」を考えさせられるような話になりました
(第1部の米山先生は光ってましたね...)ので、
このような刺激的なテーマを掲げてよかったのではないかと思います。

特に第2部と第3部は、いずれも「プロ代理店」を掲げたパネルでしたが、
コーディネーターの違い(あるいは個性)が、うまく作用したように感じました。


ただ、わかっていたことですが、このような刺激的なテーマを掲げてしまうと
次回が大変なんですよね。
とはいえ、来年も開催するのであれば、無い知恵を絞り、
参加者に刺激を与えられるような文化祭にしたいですね。


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2010年06月23日

「白紙で検討」にびっくり

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反社会勢力とのつながりが表面化し、かつ、
数十人による違法行為が判明。
しかも、2007年の暴行死事件、2008年の大麻所持事件など、
相次ぐ不祥事の発覚。

このような公益法人の存続が果たして許されるのかどうか。

興業を続けるかどうかといったレベルの話ではなく、
これが今の日本相撲協会の置かれた状況だと思うのですが、
どうも当事者は理解していないように見えます。

報道によると、21日の理事会は名古屋場所の開催について、
「現時点では見送らざるを得ない可能性もある」
と述べ、4日に再度理事会を開いて判断することにしたとか。

この期に及んで、まだ興業を続ける可能性があるというのでしょうか。
ガバナンスの問題はかなり深刻です。


※写真は大倉山七不思議の1つ、「大倉山の泉」です。
 排水溝から水が出ているようにしか見えないのですが...

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2010年06月19日

新基準で影響度調査

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17日(木)の日経新聞に、
「保険会社の財務健全性 新基準で影響度調査」
という記事が載りました。

これは16日に金融庁が発表した
経済価値ベースのソルベンシー規制の導入に係る
 フィールドテストの実施について

を取り上げたものです。
わかりにくいのでちょっとだけ解説を。


保険会社の健全性規制(ソルベンシー・マージン規制)
の見直しは2段階に分けて行われています。

「新基準」というと、今年度末から試行(正式導入は来年度末)される
ソルベンシー・マージン比率の見直し(金融庁HPへ
と紛らわしいですが、こちらが1段階めの見直しです。
今回のフィールドテストは2段階めの見直しに向けたステップと言えるでしょう。


記事には、

「現在はこの比率(ソルベンシー・マージン比率=植村注)を
 算出する際の分子に当たる純資産は時価評価しているが、
 分母に当たる負債は固定されている」

とありますが、正確には資産(金融商品)は時価評価、
負債(責任準備金)は取得原価というミスマッチです。
これでは保険会社の財務状況の実態をうまく把握できないので、
経済価値ベースで資産・負債を一体的に評価しようという話になっています。


なお、「損保は基本的に1年契約だからあまり関係ない」
という声も聞こえてきそうですが、日本の損保は積立型の保険や、
超長期の火災保険(住宅ローンにかかるもの)を扱っているので、
生保だけに影響する話ではないと私自身は思っています。


※「河口から0.0キロメートル」なのですが、
 この先にも埋立地が広がっているので、海はもう少し先です。


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2010年06月17日

NHKニュースでやることか?

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今回も金融・保険ネタではなくてすみません。

4月からNHKニュース「おはよう日本」で、朝7時半すぎから
「まちかど情報室」というコーナーをやるようになりました。

「世の中の新しい動きをとらえ、生活に役立つ情報をお伝えしています」

(番組HPから引用)とのことですが、これがひどい。
NHKがニュースでこんなことをやっていいのかと憤りを感じます。

例えば、「トースターをもっと活用しよう」の回(15日)では、
「フレンチトーストを焼ける袋」や「ホットケーキを焼くプレート」
などの実演紹介があり、商品名こそ表に出ないとはいえ、
いわゆる便利グッズの紹介コーナーとなっています
(HPには商品名と連絡先が掲載されています)。

民放で同じことをやる場合には、グッズを紹介される会社がお金を払い、
さらに広告代理店が、「○○カフェで紹介されました」という情報を
流通業者に流します。

簡単に言えば、CMを番組の合間に流すのではなく、
番組そのものに組み込んでしまうやり方なのです。

先日、近所のホームセンターの園芸コーナーで
「NHKおはよう日本で紹介されました!」という商品をみかけたので、
おそらく同じパターンなのでしょう。

NHKがグッズの会社からお金をとっているかどうかは
証拠がないので断言はできません。
ただ、番組での扱い(100%肯定的に紹介しています)や、
HPへの掲載からすると、限りなくクロに近いでしょう。

民放は広告を見せるために番組をやるといったビジネスモデルなので、
許容範囲と言えなくもありません(テレビ離れの一因だとは思いますが)。

しかし、公共放送であるNHKでこんなことをやっていいのでしょうか。
このコーナーを見るたびに、腹立たしく思います。


※先週、娘の通う小学校で田植えがありました。
 例年はバケツで稲作なのですが、今年は荒れ地を開墾し、
 本格的にやっているようです。


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2010年06月12日

深刻な球団格差

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サッカーではなく野球の話題です。

10(木)日経のスポーツ面に、野球評論家の豊田泰光さん
(西鉄出身だそうですが、さすがに現役時代は知りません)の
「セ・リーグ 深刻な球団格差」というコラムが載りました。

キモの部分を引用すると、

「セ・パ交流戦はみんなうすうす感じてはいるけど
 口にしてこなかった懐疑を、明るみのもとにさらした。
 巨人、阪神、中日が、ひごろ下位相手に積み重ねている
 勝ち星の価値はいかほどのものか、という懐疑を。」

「セの上位は『ルールにのっとって補強している』というだろうが、
 興業として成り立たなければ元も子もない。
 オーナーたちで緊急ミーティングを開いてはいかがか。
 それくらい事態は切迫している。」


横浜市民ということもあり、何となく昔から横浜ベイスターズ
(私が小学生のころは横浜大洋ホエールズでした)に親しみが
あるとはいえ、さすがに毎年これだけ弱いとげんなりです。
5月にはもう、上位と大差がついてしまうのですから。
しかも、ちょっと活躍した選手はすぐ他球団に移ってしまいます。

今年は横浜だけではなく、下位3球団が沈んでいます。
交流戦の結果(10日まで)は、横浜が5勝16敗、
ヤクルトが6勝13敗、広島が8勝12敗です。
横浜は今日(12日)も負けたので、これで何と8連敗!

豊田さんはヤクルトと広島の試合をみて、
「とても日本プロ野球の“メジャー”同士の戦いにはみえなかった」
と率直に書いています。

米メジャーリーグという手強い相手がいるなかで、
日本プロ野球としての戦略を持たないまま運営してきた
(少なくとも私にはそう見えます)のですから、
今日の事態は起こるべくして起きたと言えそうです。


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2010年06月09日

米国の変額年金販売

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2008年の金融危機を受けて販売休止が相次いだこともあり、
2009年度は変額年金の販売が減少し、銀行窓販の主力が
定額商品(定額年金、一時払い終身保険)に移りました。
これは日本の話です。

米国ではどうなっているのか気になったので調べてみると、
変額年金の販売はやはり2008年、2009年と減っています
(LIMRAのHPより)。

ただ、2008年に急増した定額年金の販売が、2009年には
小幅ながら減少しているところをみると、必ずしも変額年金から
定額年金にシフトしているわけではないことがうかがえます。
しかも、2010年の1-3月には変額年金の販売が前年を上回りました。

なぜ日本とは異なる動きになるのかというと、
一つは販売チャネルの違いがありそうです。

日本では銀行が一時払い商品のメインチャネルとなっており、
変額/定額ともに銀行が販売しています。

他方、米国では主に銀行が定額年金を販売し、
変額年金は証券チャネルが積極的に扱う、というとやや言いすぎですが、
証券チャネルの存在が大きいのは間違いなさそうです
(他に年金制度の違いも大きいようですが、ここでは触れません)。

もっとも、米国でも販売上位の顔ぶれは変わっています。
変額年金ではプルデンシャル、メットライフの2大生保が上位を占め、
INGやハートフォードは順位を下げています。
AIGは変額年金で7位、定額年金で2位と善戦しているようです。


※保険会社の本社は風格のあるビルが多いですね
 (どこだかわかりますか?)。


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2010年06月05日

0.57のテクニック

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塾の「保護者のための体験教室」に参加してきました。
1時間の体験授業(算数)を受けるというものです。

レンズ型(または葉っぱ型)ってわかるでしょうか?
正方形の1つの対角線の両端を中心に、
正方形の辺の長さを半径とする円(おうぎ形)を描くと、
その2つの円の重なる部分がレンズ型になりますよね
(図で説明すれば簡単なのですが...)。
今回はそのレンズ型の面積の求め方についてでした。

学校ではおそらく、
 (おうぎ形の面積 - 直角二等辺三角形の面積)× 2

あるいは、
 おうぎ形の面積 × 2 - 正方形の面積

というように地道に計算させるでしょう。

ところが体験教室では、正方形の面積 × 0.57 という解法を
紹介していました(正確には、π ÷ 2 - 1)。

実は数日前、たまたまこの「0.57」が娘との話題になり、
このテクニックを使わせるべきかどうか考えていたところでした。
中学受験をしたことのない私には、このテクニックは初耳で、
なんとなく抵抗があったのですね(人間知らないことには保守的ですから^^)。

ただ、今日の授業では、なぜ0.57になるかの丁寧な説明があったうえ、
計算が楽にできるというよりは、計算ミスをしにくいというメリットを
先生は強調していました。

「テクニック」というと何となく悪い響きに聞こえがちですが、
必ずしもそうではありません。テクニックの背景を理解できていれば、
むしろどんどん使ったほうがいいのでしょう。
そこからいろいろ考えることにつながっていけばいいのですから。


※「浜銀通り」というのが横浜らしいですよね。
 同じ通りに三菱UFJもみずほもあるのですが...

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2010年06月03日

収入構成と損益構成の違い

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生保の2009年度決算では、貯蓄性商品(主に銀行窓販)の販売動向が、
年換算保険料などの業績指標を大きく左右しました。
しかし、保障性商品と貯蓄性商品では当然ながら利益率は
かなり異なるはず。会社価値への貢献という点ではどうだったのか、
もっと情報がほしいところです。

銀行セクターに目を転じると、一部の銀行では
事業部門別に資本コスト控除後の純利益を開示しています。

例えば、きんざいでも紹介されていましたが、
千葉銀行では「貸出金の収益構造」を開示しています。
銀行ビジネスの中核的存在というイメージのある大・中堅企業向け
(貸出平残は全体の18%)が資本コスト控除後純益では赤字であり、
平残で33%の住宅ローンが、純益の5割を占めていることがわかります。

りそなホールディングスも「事業部門別管理会計の状況」のなかで
資本コスト控除後利益を公表しており、コーポレート事業の赤字を
コンシューマー事業(特にローン)と信託事業、市場部門で
補っていることが示されています。
業務純益の段階とはかなり姿が異なります。

このような部門別の情報があれば、経営活動の妥当性を
外部から評価しやすいでしょうね。


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