植村信保のブログ

保険アナリスト植村信保のブログ

2010年02月25日

米国の州保険監督体制

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直近のニッセイ基礎研REPORT(2010年3月号)に掲載された
「米国の州保険監督体制」(松岡博司さん執筆)によると、
各州の保険監督局で働く職員は1万人以上に上るそうです。

ニッセイ基礎研REPORTのHPへ

「財務健全性監督部門」「販売行動監督部門」「免許部門」だけでも
約3500人となる計算です。
もっとも、米国には保険会社だけで数千社ありますし、
この記事によると、監督対象は保険会社だけではないそうです。


他方、日本の金融庁は1462人(2009年度の定員)です。
このうち監督局が273人、検査局が430人となっています。
ただし、保険監督だけではなく、銀行や証券を含めた全体の数字です。

保険だけのデータは見つかりませんでしたが、
監督、検査、企画合わせても60~70人程度ではないでしょうか。
監督対象となる保険会社は意外に多く、100社を超えています。


日米の保険監督体制は規模だけ見ても相当違うことが伺えます。
米国ではこれだけ多くの監督官が働いているわけですから、
連邦規制がなかなか導入されないのも理解できます(是非はともかく)。


※宮島の表通りを一本裏に入ると、懐かしい町並みがありました。


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2010年02月24日

沖縄出張

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出張の後半は沖縄でした。

沖縄には県内シェア5割弱を誇る大同火災があります。
ほぼ沖縄県だけで営業している珍しい会社です。
ちなみに生命保険会社は本土復帰の際に他社に吸収されています
(琉球生命 → 日本生命、沖縄生命 → 協栄生命)。

沖縄の保険市場は本土とはいろいろ違います。
大企業が少なく、かつ、車社会なので、損保と言えば自動車保険です。
ただ、沖縄県は日本で数少ない人口増加県ですし、
自動車の保有台数も増えています。

火災保険も普及していますが、コンクリート造りの家が多く、
台風が来ても一般に被害はそれほど大きくならないようです。
もっとも、発生直後に襲ってくるので、事前の準備ができません。

地縁・血縁など横のつながりも強いようです。
これを象徴するのが「模合(もあい)」という民間金融の存在。
模合はグループで定期的に集まり、一定のお金を出し合って、
必要な人から順番にお金を受け取っていくという仕組みです。
シニア層だけではなく、若い人どうしの模合も普及しているとか。



※左の写真は沖縄の桜です(寒緋桜)。


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2010年02月21日

プロ代理店の勉強会

 

プロ代理店の集まりであるRINGの会のオフ会(勉強会)で
広島に行きました。 RINGの会HPへ

オフ会の内容はメンバー限りなので、ここで書くことはできませんが、
マクロ的な講演から実務上の情報交換、新たな取り組みの紹介など、
非常に前向きな勉強会でした(私も1コマ担当しました)。

私にとっても、このような現場の皆さんとの交流は貴重な機会です。
「現場でそのような動きがあるのか!」と驚かされることもしばしばですし、
例えば、本社は「あるべき姿」を実現するために打ち出した話が、
現場ではいつのまにか「あるべき姿」がどこかに行ってしまい、
目先の対応に追われるばかりになっていたりもします。

ただ、どの産業でもマクロとミクロのギャップはあるとはいえ、
とりわけ保険業界では本社と現場の距離が大きいように感じます。
どうしてなんでしょうね。

※厳島神社です。干潮で大鳥居まで歩けました。


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2010年02月18日

ジャーナリズムの試金石

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保険分野とは直接関係のない話が続きますが、ご容赦下さい。

朝日新聞の夕刊に、ジャーナリストの池上彰さんの
「新聞ななめ読み」というコラムがあります。
15日は「トヨタ大規模リコール ジャーナリズムの試金石」でした。
巨大スポンサーであるトヨタのリコール問題を
新聞やテレビがどう扱っているか紹介しています。

コラムによると、9日の豊田章男社長による緊急おわび会見を、
新聞やテレビは次のように伝えたそうです。

・他の民放がこの問題を扱うとき、なんとなく腰が引けていたのに比べ、
 NHK(夜7時のニュース)は堂々たる扱いだった。

・朝日新聞は「欠陥」ではなく「不具合」とマイルドに表現。
 記者会見の一問一答の見出しも社長に好意的な表現。
 全体としては微温的な扱い。

・読売新聞は「『安全』から一転『欠陥』」「トヨタ社長歯切れ悪く」と
 トヨタを厳しく批判する姿勢が紙面からうかがえる。

・日経新聞は経済紙なのに扱いが小さく、「信頼回復へ陣頭指揮」と
 社長を持ち上げるなど、トヨタへの批判的な視点が見当たらない。

内容の面白さもさることながら、コラムが掲載されている朝日新聞に
遠慮しない池上さんの姿勢にも好感が持てますね。


※鶴見線シリーズ。終点の扇町駅(左)と近くの運河(右)です。
 まさに京浜工業地帯という感じがしますね。

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2010年02月16日

学校の大画面テレビ

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息子の通う中学校に50インチの大画面プラズマテレビが入りました。
しかしこのテレビ、非常に評判が悪いようです。

テレビを載せる台が低い(教室で観ることを想定していない)ので、
前の席だと大きすぎて見にくく、後ろだと前にさえぎられてよく見えません。
薄型なんだから壁掛けにすればいいのに。
「大きいのでじゃま」という問題もあるようです。

しかも、以前のテレビよりも電気を食うので、全校テレビ朝会など
学校全体でテレビを使うとブレーカーがすぐに落ちてしまうとか。
だから全校でテレビを観るときは照明や暖房を切るのだそうです。
こうなると悲劇を通り越して喜劇ですよね。

調べてみると、これは地元ではなく、国の政策でした。
麻生政権時代の2009年4月に取りまとめられた経済危機対策で
「スクール・ニューディール」構想が提唱され、そのなかに、

「全てのテレビを50インチ以上のデジタルテレビに買い替える」

という内容が入っていたのですね(もちろん予算も)。

ちなみにHPには次のように書いてありました。

「迫力ある高画質な映像により児童生徒の興味関心を向上させるとともに、
 各教室にモニターとして置くことにより、パソコンやデジタルカメラの画面、
 プリント、教材等を拡大表示し大きな学習効果を期待できるものです」

文部科学省「スクール・ニューディール」構想


現場の要請ではなく上から突然降ってきた話だったため、
先のような何ともちぐはぐな光景になってしまったようです。
それにしても、もう少し工夫のしようはあると思うのですが。


※鶴見線シリーズ。この駅の名前は「昭和駅」なので、
 かつて記念切符が売り出されたことも。


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2010年02月14日

生保の業績報告

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生保の第3四半期(10-12月期)業績報告の発表がありました。

日本の四半期開示は4-12月累計で発表されます。
年度決算の姿を予想しやすいというメリットがある半面、
足元の変化をとらえにくいというデメリットもあるようです。

そこで主要生保(大手4社とかんぽ、ソニー、アリコ、アフラック)の
契約動向を四半期ごとに並べてみました。

四半期ごとに見ると、例えば住友が個人年金の販売を抑えたことが
確認できます、第一(フロンティア生命)は高水準を維持しています。
同じ大手でも、第三分野の年換算保険料の推移などから、
住友(第三分野に積極的)と他の3社で商品・販売戦略の違いが伺えます。

アリコジャパンにも注目です。1年前のAIGショック以降、
個人年金販売は引き続き低水準です。
ただ、個人保険分野では、第三分野の好調さに支えられ、
何とか踏ん張っているようです。

かんぽ生命の動向も興味深いです。
この四半期は個人保険の回復基調にややブレーキがかかる一方、
個人年金の販売を伸ばし続けています。
あまりいい傾向ではないかもしれません。


※きょう(14日)はバレンタインデーですね。
 写真の手作りチョコは果たしていずこへ?


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2010年02月11日

役員報酬の個別開示

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本日(2/11)の日経1面です。
金融庁は2010年3月期から上場企業等の情報開示を強め、
役員報酬の個別開示を義務付ける方針とのこと。

普通の記事のほかに下記のような「解説」がありました。

・金融庁が役員報酬の開示を企業に義務づけるのは、
 経営への監視を強めるのが狙いだ。

・だが、役員報酬が突出しにくい日本で、
 情報開示の義務化を急ぐ理由が本当にあるのか。
 コーポレートガバナンス改革を進めるうえで、
 優先的に取り組む課題かどうか疑問が残る。
 (他の優先課題については示されていません)

・開示の範囲について、国際的な合意があるとはいえない。

・日本企業の役員報酬は米欧ほど高くない。
 それでも厳しい情報開示を求める理由はなにか。
 政府の説明責任が問われる。

・日本の事情も考慮し、実効性があるかどうかを
 検証する必要がありそうだ。


私にはこれが「解説」とはとても思えませんし(社説ならわかります)、
反対意見にしては説得力が弱いように感じます。

個別開示の是非については、ここでは語りません。
ただ、一般的には経営の透明性を高めることが
ガバナンス強化につながると理解されているわけですし、
実際に情報開示も進んできました。

役員報酬の個別開示に経済界が反発するのはわかります。
しかし、どうして市場機能の一翼を実質的に担っているマスコミの一員
(しかも経済紙)である日経が、経営の透明性を高めようとする話に
否定的な記事を書くのでしょうか。

もし日本企業の役員報酬が米欧ほど高くはなく、
開示による効果が米欧ほどは期待できないにしても、
ある程度のガバナンス向上にはつながる(マイナスではない)
と考えるのが普通です。
他のガバナンス向上策とは違い、コストもほとんどかかりません。

開示によるマイナス効果が大きいというのであればわかりますが、
そうであるならば、読者としてはそれこそ解説してほしいです。

「日本で義務化を急ぐ理由があるのか?」と
国際的な流れとは異なる動きを主張しながら、
「開示範囲に国際的な合意がない」というのも変ですよね。

説明責任が問われるのは政府よりも日経のほうではないでしょうか。


※鶴見線シリーズ第2弾。
 この浜川崎駅は鶴見線から同じJRの南武線に乗り換えるのに、
 改札口を出て道路を渡り、別の改札口を入る仕組みになっています。
 左が鶴見線、右が南武線です。

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2010年02月10日

SBIがネット生保から撤退

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SBIホールディングスはSBIアクサ生命の株式をアクサに譲渡し、
ネット生保事業から撤退すると発表しました。
アクサグループが株式の95%を保有することになります
(残り5%はソフトバンクが保有)。

SBIホールディングスのトップは有名な北尾吉孝さんです。
ご記憶のかたは少ないかもしれませんが、
北尾氏が生保事業に出資し、短期間のうちに引き上げるのは
おそらくこれが2回目です。前回は大和生命でした。

相互会社だった大和生命は、2001年にソフトバンク・ファイナンス
と合弁であざみ生命を設立し、実質的な株式会社化を果たすとともに、
破綻した大正生命の受け皿会社となりました。

しかし、ソフトバンク・ファイナンスは2002年の時点では
すでにあざみ生命(2002年に大和生命に改称)の大株主では
なくなっていました。

このソフトバンク・ファイナンスの代表が北尾氏でした。


※写真は鶴見線の浅野駅と安善駅です(ローカルですみません)。
 明治時代の実業家である浅野総一郎、安田善次郎にちなんで
 名付けられたそうです。


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2010年02月07日

有楽町西武の閉店

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有楽町西武の閉店が話題になっています。
有楽町マリオンの登場は当時の銀座・有楽町界隈の
雰囲気を変えたと思いますし、待ち合わせ場所としては
超有名スポットだけに、閉店が話題になるのも無理はありません。

開業から今まで一度も黒字になったことがなかったそうですが、
考えてみれば、私もマリオンで待ち合わせをしたり、
映画を観たりはしても、西武で買い物した記憶は全くありません^^

ところで、この件を扱った日経流通新聞のコラム
「マーケティングの『非・常識』」(2/5)はなかなか面白かったです。

「百貨店はリスクを背負わない。売れ残ったら、
 問屋さんに返品すればいい業態」
「百貨店の人は百貨店以外にいいビジネスはないと思い込んでいる」
「(これらがネックとなり)脱百貨店をはかることができない」

このような説得力のある見立てをしているのが、
かつてグループを率いた堤清二氏(筆名は辻井喬氏)
というのを興味深く感じました。
つまり、有楽町西武だけの問題ではないということです。

かつて成功した業態がビジネスモデルや体質を変えるのは
そう簡単ではないということなのでしょう。


※写真は丸の内仲通りの夜景です。
 丸の内は新しい建物が次々にできていますね。

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2010年02月06日

今や監督当局が味方

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日経ビジネス2010年2月8日号に掲載された
野村ホールディングスの氏家純一会長インタビューから。

「悪用された部分や金融システムのほころびは規制されるべきで
 異論はない。実際、バーゼル銀行監督委員会やFSBが、
 技術的で合理的な議論を丁寧に積み重ねてきた」

「これらの成果をひっくり返すかのように、政治主導で突然、
 新たな規制が出来上がることに強い危機感を抱く」

「監督当局とは課題をしっかり議論できるが、残念ながら
 政治家に理解してもらうのは難しい。
 その意味で、今や監督当局はむしろ我々の味方だと、
 世界の金融機関トップは認識し始めている」

「規制する側とされる側が接近するということは、
 逆に言えば、それだけ状況が悪いということだ」


日本の「政治主導」はやや違う方向に向かっているようですが、
氏家さんの危機感はよくわかります。


※写真と記事の内容は特段関係ありません。念のため。

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